ルノーF1代表、撤退説を改めて否定「規則変更のチャンスを生かし、表彰台争いをしたい」

 ルノーF1チームのマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、F1が予定している大規模な規則変更を確実に飛躍のチャンスにしなければならないと、決意を固めている。

 2016年からワークスチームとしてのF1活動を再開して以来、ルノーが発揮してきたパフォーマンスは、期待外れといわざるを得ない。

 チームは5カ年計画を練り上げ、戦いの場に戻った最初の3年は計画どおりに歩みを進めていたが、2019年シーズンは後退した。名誉ある“トップ3以外でのトップ”の座をパワーユニット(PU/エンジン)を提供するカスタマーチームであるマクラーレンに奪われたのだ。

 段階的に進歩していくことを計画していたルノーだが、昨年は予定どおりの結果を出せずに終わり、チームメンバーたちにとってフラストレーションがたまる一年になった。

 アビテブールにとってもうひとつ苛立ちを感じるのは、部外者からルノーのF1での将来について頻繁に質問されることだった。

「我々は42年間、何らかの形でF1に参戦してきた」とアビテブールは『Autocar』に語った。

「我々には一貫性が欠けており、それに加えて経営陣の行動や変更という要素があったことは、すべて理解している」

「だが現実には、我々はふたつのファクトリー(エンストンとビリー-シャティヨン)を持つ、確立されたチームだ。今では1200名の人員を抱えている。それに我々は今年だけではなく来年に向けてかなり前進している」

「新コンコルド協定は正しい方向に進んでおり、我々にとって非常にポジティブな内容のレギュレーション一式が策定された。方向性に関しては良いことずくめだ」

「我々が揺れる自動車産業の一部であることは認めよう。それもルノーの真実だ」

「だが我々はダイムラー(メルセデスの親会社)よりも苦戦しているだろうか? 私にはそうは言い切れない」

「価値はすでにここにあり、将来的に良くなっていくばかりだ。パフォーマンスを手始めに、ポテンシャルを結果に結びつけることができるかどうかは我々にかかっている」

「もし我々のパフォーマンスがもっと優れていたら、この手の質問に答えるような機会はもっと少なかっただろうね」

■「大きなリスクがあることを承知でF1に参戦している」とアビテブール

 アビテブールは、F1に参戦することには大きなリスクがあり、そのために多くの自動車メーカーが参戦することを避けているのだと語った。

「適切なレベルでパフォーマンスを発揮できない場合は危険だ。非常に大きなリスクとなる」とアビテブールは語った。

「前々からF1に参戦しているのに、昨年は4位を争えなかったという批判があるが、今年こそそれができると信じている。だが4位を獲得するというのはかなりの大仕事だ」

「かなりの資金を持ち、最も名声が確立しているところも含め、多くのメーカーがF1に参戦しようともしない。なぜなら危険が結びついているからだ」

2020年F1バルセロナテストでのルノー

 F1は大規模なレギュレーション変更を予定しており、そのなかには予算制限も含まれている。それにより上位とのギャップを縮められることを、ルノーやライバルの中団チームは期待している。

 しかしながら、規則変更が実際に導入された後は、ルノーはどのような言い訳もできなくなる。

「確かに我々は、いつまでも逃げ隠れしているわけにはいかない」とアビテブールは認めた。

「期待は現実的かつ合理的なものであるべきだ。しかし(規則変更が予定されている2022年に)表彰台を争うことができなかったら、我々は言い逃れることはできない」

「圧倒的優位に立つことは期待していないが、表彰台争いをすることが目標だ」

 F1は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年に予定していた新規則の導入を2022年に延期、それをさらに先送りする可能性もあるといわれている。

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