【相模原殺傷】「死にたくない…でも死ぬべき」植松死刑囚の心境は 本紙記者接見

横浜拘置支所=横浜市港南区

 神奈川県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)で入所者ら45人が殺傷された事件で、一審横浜地裁の死刑判決が確定した元職員植松聖死刑囚(30)が1日、横浜拘置支所で神奈川新聞社の取材に応じた。弁護人の控訴を自ら取り下げ、死刑を確定させた現在の心境を「安楽死する人の気持ち」と表現。真意を尋ねると「絶対死にたくない、でも死ぬべきだと思っているところが同じ」と説明した。

 控訴取り下げの理由については「二審、三審と続けるのは間違っている」と持論を繰り返した。自らの判断は「自死に近い」とも語った。判決確定後は接見や手紙など外部とのやりとりが制限されるため、「葛藤はあったが、裁判をやめることの方が大きな仕事だと思った」と強調した。

 公判の最終意見陳述で「どんな判決でも控訴しない」と明言したことには「調子に乗って言い過ぎた」と苦笑いした。両親は取り下げに反対していたという。死への恐怖については「もう慣れてしまった」と答えた。

 遺族らから反省や謝罪を求める声が上がっていると指摘すると「罪とは思っていない。(重度障害者が時間と金を奪っている)現実に向き合っていないのは彼らだ」と気色ばむ場面も。直後に「すぐイライラしてしまう。今が幸せじゃないから」と本音を漏らした。

 接見時の植松死刑囚は黒い長髪を後ろで一つに結び、薄い青色のフリース姿。接見終了のアラームが鳴ると立ち上がり、「皆さまには大変お世話になりました」と深々と一礼した。普段は頭を下げたままだが、この日は顔を上げて記者らを見送った。

© 株式会社神奈川新聞社