BIMのその先を目指して・131/樋口一希/BIMモデルによる建築確認システム

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清水建設と指定確認検査機関である日本建築センターは協働で、将来のBIMモデルによる建築確認申請・自動審査を先取りし、設計者が申請図書として提出するBIMモデルの法適合を審査者がコンピューター上で審査する新たな建築確認システムを確立した。

□2次元の図面に替えてBIMモデル自体を審査する新たな建築確認システムの確立を目指す□

BIMの普及が進む状況下においても、建築確認申請図書を作成するに際しては、実際の法適合の審査ではBIMモデルが活用されず、出力された2次元の図面が用いられているのが現状だ。清水建設ではこれらの状況や国土交通省が主催する建築BIM推進会議の動向を踏まえ、日本建築センターに2次元の図面に替えてBIMモデル自体を審査する新たな建築確認システムの確立に向けた協議を申し入れ、昨年6月から両者による協議・検討を重ね、新たな建築確認システムを確立した。

国立研究開発法人建築研究所の武藤正樹上席研究員は新システムについて「本開発はIFC*2モデル(※)の自動審査に向けた開発で、的を射た流れである。一般化を目指したいが、その過程としてクローズドな環境(BIMソフトや個社データベースに依拠する体制)として現実解を見せることは非常に重要である」と評価している。

今後は清水建設が申請、日本建築センターが確認を行う案件において新システムを展開するとともに、全国の主要な確認検査機関に対してその採用を提案していく。

※IFC(Industry Foundation Classes)=建設業界+共有のプロジェクト・モデルの基礎+合意のもとに構築するための共通な言語としてのクラス。

□BIMモデルを構築するためのファミリとBIMモデルの法適合自動判定プログラムから構成□

建築確認システムの核となるツールは、BIMモデルを構築するためのファミリ(パーツ=部材の形状情報と属性情報)とBIMモデルの法適合自動判定プログラム(VPL〈※〉)から構成されている。

ファミリについては、建築部材の属性情報-居室(非居室・地階)、区画(防火・防煙)、材料(不燃・準不燃)、廊下(幅員)、窓(採光・換気・排煙)など、約300項目の法関連情報を入力できるように整備している。

法適合自動判定プログラムは、自社開発プログラムと市販のアドインソフトで構成される。自社開発プログラムは、平均地盤面高さ算定、延焼線の範囲自動生成と外部開口部性能チェック、採光・換気・排煙チェック、防火区画開口部性能チェック、床積載荷重図自動作図、防火区画貫通部防火ダンパー設置チェックなどがあり、今後、順次整備していく。

市販のアドインソフトは、高さ制限解析ソフトADS-BT(生活産業研究所)や構造一貫計算ソフトとRevitが双方向連動するBUS-6+RevitOP.(構造システム)となっている。

※VPL(Visual Programing Language)=プログラムをテキストで記述するのではなく、視覚的なオブジェクトでプログラミングするプログラミング言語。

□審査者はBIMモデルから申請図書を出力し設計者からの申請を受け付けて確認済証を交付□

新たな建築確認システムによる手続きは、最初に事前申請として設計者がBIMモデルをクラウド上にアップし審査者と共有する。審査者は設計者が作成したファミリと法適合判定プログラムの信頼性を確認・承認した上で、当該プログラムを確認支援ツールとして活用しBIMモデルの法適合を審査する。

引き続き本申請では、BIMモデルと本申請の申請図書の整合を担保するため、審査者はBIMモデルから確認申請図書を出力し、設計者の押印を経て申請を受け付け、確認済証を交付する。BIMモデルによる建築確認システムが定着し、確認検査機関でBIM利用が進めば、確認期間を従来の2分の1程度に短縮できる見込みだ。

〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)