ドラフト直後の採点は当たったか? 2015年を検証、低評価だった阪神と巨人はどうなった

ソフトバンク・高橋純平(左)とDeNA・今永昇太【写真:藤浦一都、津高良和】

高く評価されたのは高橋純平を引き当てたソフトバンク、今永昇太を単独指名したDeNA

 今季も数多くのルーキーたちがプロの世界に飛び込んできた。ただ、ルーキーたちは誰しもが入団して即、活躍するわけではない。身体作りに励み、3年、5年が経ってからようやく花開く選手たちも多くいる。ドラフトの真の成果は、ある程度の年数が経ってから分かるものだ。

 では、かつてのドラフト会議の成果は各球団、どう出ているのだろうか? ドラフト直後の“採点”で評価の高かった球団、低かった球団は? 12球団の指名評価を振り返り、現在、その年々の指名選手たちがどうなったのか、検証してみよう。

 今回は今から5年前の2015年のドラフトだ。この年に指名された選手は今季が5年目。高卒だった選手は23歳になる世代で、今季の大卒ルーキーらと同い年になる。そう考えれば、まだまだ、これから花咲せる選手が現れても不思議ではない。あくまでも現時点での成果、として見ていこう。

 2015年のドラフトで目玉となったのは高橋純平、小笠原慎之介、平沢大河、高山俊、今永昇太ら。1巡目指名で高橋に3球団、平沢と高山に2球団、外れ1位で小笠原に2球団が競合し、高橋はソフトバンク、平沢はロッテ、高山は阪神、小笠原は中日が交渉権を獲得した。高山の抽選時には、当時ヤクルト監督だった真中満氏が“外れ”を“当たり”と勘違いするハプニングが起きた年でもあった。

 この年の指名で特に評価が高かったのがソフトバンクとDeNAだった。ソフトバンクは3球団競合の高橋を引き当て、DeNAは目玉の1人だった今永の一本釣りに成功。昨季、ようやくその高橋が中継ぎとして45試合に登板して頭角を現したが、2位以下にはまだ成果は出ていない。DeNAは今永の一本釣りに成功。左腕は昨季13勝をマークして2度目の2桁勝利を達成するなどエースとして成長を遂げた。3位の柴田、4位の戸柱も1軍で戦力となっている。

 対照的に評価が低かったのがヤクルト、阪神、日本ハム、巨人あたり。ただ、この4球団、見てみると、意外に悪くない結果となっている。高山を外したヤクルトは原樹理を1位で指名。右腕は主に先発として4年間で81試合に登板。2位の廣岡大志、5位の山崎晃太朗も近年、出番を増やしている。阪神はクジで引き当てた高山が1年目に新人王を獲得。その後はやや低迷しているものの、5位の青柳晃洋がローテを担い昨季9勝、2位の坂本誠志郎や4位の望月惇志も1軍戦力になっている。

“当たり年”だったのはオリックス、吉田正尚や近藤大亮らが入団

 高橋、小笠原を続けて外した日本ハムは1位で上原健太を指名した。上原は伸び悩んでいるものの、2位の加藤貴之、3位の井口和朋、6位の横尾俊建ら、突き抜けた存在こそいないが、数多く1軍の戦力になっている。巨人も単独指名の桜井俊貴が昨季8勝と4年目で開花の兆し。2位の重信慎之介、5位の山本泰寛も1軍の戦力となり、7位の中川皓太は昨季67試合に投げて、侍ジャパンにも選ばれた。日本ハム同様に大物こそいないが、多く戦力になっている。

 その他の球団はどうか。この年のドラフトで上々の成果を上げているのはオリックスだ。1位で単独指名した吉田正尚は球界を代表する強打者に成長し、2位の近藤大亮、3位の大城滉二も1軍に不可欠な存在となっている。平沢を外した楽天も悪くない。外れ1位のオコエ瑠偉は一皮剥け切れていないが、3位の茂木栄五郎がチームの中心選手に。5位の石橋良太は育成落ちを経験しながらも昨季8勝をあげた。4位の堀内謙吾、6位の足立祐一は正捕手を争う位置にいる。

 ロッテは平沢を引き当てたが、まだ期待値に見合うだけの成果は出ていない。3位の成田翔も期待値は高く、台頭が待たれている。4位の東條大樹は昨季リリーフで58試合に登板している。西武は多和田真三郎を単独指名し、2018年に最多勝のタイトルを獲得。6位の本田圭佑も先発ローテを伺う存在に。2位の川越誠司は投手から外野手に転向し、今季の定位置獲りに期待がかかる1人だ。

 広島は岡田明丈を1位で指名し、2年目の2017年に12勝をマーク。5位の西川龍馬は非凡な打撃センスを開花させ、今では中軸を担う存在に成長した。中日は高橋を外し、小笠原慎之介を1位で指名。ローテを担ってきたが、最高で5勝とまだ物足りないか。2位の佐藤優は2018年にリリーフで42試合に登板し、侍ジャパンにも選出。3位の木下拓哉、4位の福敬登も1軍の戦力となり、5位の阿部寿樹は29歳の昨季、正二塁手の座を掴んで遅咲きのブレークを果たした。

 今季が5年目となる2015年ドラフト世代。特に高卒選手では、ここから頭角を現してくる選手もいるはず。5年後、10年後にこの評価は、また大きく変化しているかもしれない。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2