新型コロナで急激悪化 バブル崩壊以来の下落幅 長崎県内景況感

 日銀長崎支店が1日発表した3月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス16となり、前回の昨年12月調査から22ポイントも大幅に下落した。バブル崩壊後の1993年2月に次ぐ下げ幅で、8ポイント低下のマイナス4だった全国より深刻。新型コロナウイルス感染拡大の影響が幅広い業種に及んでいる。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は137社(製造業45、非製造業92)を対象に2月25日~3月末に実施。全社が回答した。
 本県のマイナス16は東日本大震災直後の2011年6月以来の低水準(過去最低は金融危機があった1998年9月のマイナス47)。マイナスに転落したのは2013年3月以来7年ぶり。6月予測ではマイナス25にまで悪化する見通しとなっている。
 全国を上回る急激な悪化の要因について、下田尚人支店長は会見で、長崎ランタンフェスティバル来場者やクルーズ船寄港の減少を引き合いに「本県は全国より早いタイミングで新型コロナの影響を受けている。中小零細企業が多く、資金繰りの逼迫(ひっぱく)度も高いようだ」との見方を示した。先行きについても「影響の改善を期待する企業より、長期化を懸念すると回答した企業が3倍ほど多かった」とした。
 業種別で見ると、非製造業がマイナス16で、前回調査からの落ち込みが28ポイントと激しかった。このうち宿泊・飲食サービスは宴会や宿泊のキャンセルが相次ぎ、マイナス67と低迷した。小売業はマイナス41、運輸・郵便はマイナス36。一方、製造業は7ポイント低下のマイナス15だった。
 資金繰りを「楽である」と回答した企業割合から「苦しい」とした割合を引いた資金繰りDIは10ポイント低下のマイナス1で、全国の13を大きく下回った。マイナスは13年9月以来6年半ぶり。

 


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