全豪協会、盟主オーストラリアSCに続きバーチャルレース“ARG eSport Cup”を開催へ

 オーストラリア大陸のモータースポーツ・カテゴリーを統括するARG(Australian Racing Group)は、進行中の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック対策として、オンライン・レーシングの分野を活用することを決断。盟主VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーとは異なり、TCRやS5000、V8ツーリングなどの参戦ドライバー向けとなる“ARG eSport Cup”を開催するとアナウンスした。

 新型ウイルス感染対策の一環として、大規模イベントの開催自粛要請を受けてVASCがF1併催のシリーズ第2戦からレースを延期したのに加え、ARGが統括するTCRオーストラリア・シリーズ、大陸最速フォーミュラのS5000シリーズ、そしてVASCのサポートカテゴリー的地位を担うSuper2やV8ツーリングカー・シリーズなども軒並み開催延期、または中止の判断が下されている。

 4月からeスポーツ選手権の立ち上げを発表しているVASCは、現役スタードライバーたちに加えてeレーサーも競技の輪に加わる形態となるが、このARG eSport Cupはそれと対照的に前述のカテゴリーに参戦するドライバーにのみオープンされる。

 すでにTCR参戦中のネイサン・マルコムやディラン・オキーフ、アーロン・キャメロン、そして初代王者のウィル・ブラウンに加え、Super2参戦組のトーマス・ランドル、元GRM(Garry Rogers Motorsport)のVASC経験者ジェームス・ゴールディンらがエントリーを表明しており、今後もさらなるメンバー発表を予定する。

TCRやS5000、V8ツーリングなどの参戦ドライバー向けとなる”ARG eSport Cup”
2020年はGRMのルノー・メガーヌR.S.TCRに乗る予定だったディラン・オキーフも参戦を表明
「世界的なパンデミックが沈静化するのを待つ間、ファンに興奮とエンターテインメントを届ける機会になるだろう」とARGのマット・ブレイドCEO

 ARGのCEOを務めるマット・ブレイドは、ドライバーとチームからの反応は「このアイデアへの信頼性を高め、世界的なパンデミックが沈静化するのを待つ間、ファンに興奮とエンターテインメントを届ける機会になるだろう」と語った。

「3月下旬の数週は、ここオーストラリアだけでなく世界中の人々にとってジェットコースターのような日々だった。このバーチャル・プラットフォームは、私たちが新たな環境に直面する事態にあって、世界に正常さを取り戻す方法のひとつになるだろう」と続けたブレイド。

「ドライバーとチームからの初期反応は、私たちにとっても非常に励みになった。最終的には40台のグリッドが埋まり、ARGが統括するカテゴリーから多くのレギュラードライバーたちが集った」

「このARG eSport Cupは、オンライン形式で彼らのスキルを示す熱狂的なプラットフォームになり得る。詳細は間もなく発表するが、現実のレーストラックに戻る前に、すべてのレースファンがこのイベントをギャップを埋めるのに最適な方法と見なすと確信している」

 このイベントは、4月に開幕予定のVASCと同様に『iRacing』のソフトウェアを使用し、MPC(Melbourne Performance Centre)がTCRオーストラリア・シリーズで走らせるアウディRS3 LMSをフィーチャー。オーストラリアを代表するバサースト、マウント・パノラマのトラックやフィリップアイランドでのレースが予定されている。

2019年はスポット参戦ながら、MPCのアウディで勝利も飾ったガース・タンダーもトレーニングに勤しむ
ホンダ系のWall Racingも参戦表明したが、使用マシンはアウディRS3 LMSとなる
王者ウィル・ブラウンと、僚友ネイサン・マルコムのヒュンダイ系ドライバーもエントリーを表明した

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