世界自閉症啓発デー

 「もし、息子さんがコロナで入院したら」という問いに対して、自閉症の次男がいる母親はこう答えた。「私も一緒に病室に入ります。1人ではいられないですからね…」▲脳に先天性の障害がある自閉症。社会的な認知度は上がっているが、特性を詳しく説明できる人は決して多くない。いまだに「自分の殻に閉じこもっている」「育て方が悪い」とも捉えられがちだ▲言葉が理解できない、人が多い場所で奇声を発する…。一般的に見ると奇妙にうつる。保護者は少なからず白い目で見られてきた経験がある▲この自閉症児がいる家族をさらに苦しめる一つに「災害」がある。周囲に迷惑なので避難所にいられないという話は、東日本大震災後にもよく聞いた。今回の新型コロナウイルスもまた、家族にとっては一種の災害なのである▲そんな障害を理解しようと2007年、国連総会で毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」にすると決議された。これも認知度は低いが、各地でシンポジウム開催など地道な活動は続いている▲その啓発活動の一つにランドマークのブルーライトアップがある。県内各所もきょう2日夜、癒やし、希望を表す「青色」に染まる。「その意味を少しでも知ってもらえたら…」。一緒に入院すると言った母親の願いである。(城)

 


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