ポルシェは“パンデミック”の最中も「やることは少なくない」とGTモータースポーツボス

 ポルシェのファクトリーモータースポーツ責任者であるパスカル・ズーリンデンは、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的大流行“パンデミック”によってモータースポーツ界が減速を余儀なくされているにもかかわらず、ドイツメーカーの「やるべきことは少なくない」と語った。

 ポルシェはスタッフの社会的接触を最小限に留めるため、一部の従業員に在宅勤務を推奨しているが、ドイツ・ヴァイザッハにあるファクトリー本部は業務を継続している。

 ズーリンデンは最近、記者団に対して同社のモータースポーツ部門は、現在世界が置かれている不透明な時期にも順応した、適切な方法で働き続けることを目指していると述べた。

 ポルシェはヴァイザッハの施設でのトラックテストを中止しているが、ズーリンデンによれば、911 GT3カップカーの後継モデルの開発が2021年のロールアウトに向けて進行中だという。

「現在はヨーロッパで、この危機が始まってから3~4週間が経ったところだ。そして、この先の将来も何が起こるのかを予測することは困難な状態にある」とズーリンデン。

「私たちは世界中のすべてのシリーズオーガナイザー、トラックのオーナーと密接に連絡を取り、各地域でいま何が起きているのかを確認している。正直に言うと、それは日々変化している」

「この2020年に関して言えば、私たちは大規模イベントの開催や、渡航を制限する政府の決定に従うしかないと思う。反応することしかできないんだ」

「しかし、我々はすでに妥協案を講じており、レースが開催されない限りこの状況は続くだろう。そのなかでやるべきことは少なくない。まだやるべき課題と開発作業がたくさんあるんだ」

「ポルシェモータースポーツはロードカーの開発も担っており、この開発チームはレース部門とは完全に独立している。彼らはいま、この難しい状況に対応しながらロードカー開発に集中している」

■パンデミックの影響はカスタマー部門により大きく

 ズーリンデンは、新型コロナウイルスの感染拡大がGT3、GT2、GT4、GTEを対象したポルシェのカスタマー向けレースプログラムに影響を与える可能性があり、それはワークスチームが行うGTEプロジェクトよりも大きなものになると説明した。

「ワークスプログラムでは、我々が現場でレースをしていない間も多くの開発が行われている。彼らは私たちが戻ってきたときに準備ができるように、全力で作業に取り組んでいるんだ」

「しかし、カスタマーレース部門は、顧客がレースをしていないときはパドックでのサポートも少なくなるため、置かれている状況が少し異なる」

「クルマを運転しなければ当然、パーツは壊れない。そうなれば販売するパーツは少なくなるんだ。そのため、カスタマーレーシング部門はフルタイムで働いておらず、州からのサポートを受けている」

「彼らのほとんどは現在、在宅業務を行っている。我々は2日に1度、チームに電話をしてすべての作業がどのように進んでいるかを説明している」

「“ファミリー”として連絡を取り合うことは、私たちにとって非常に重要であり、皆がこの状況に問題がないことを確認する上で欠かせないものだ」

IGTC第1戦バサースト12時間レースに参戦したアブソリュート・レーシングの912号車ポルシェ911 GT3 R
WECのGTE Amクラスに参戦しているプロジェクト1・モータースポーツの57号車ポルシェ911 RSR

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