LVMH系ファンドがエトヴォスを買収

LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンおよびグループ・アルノーと戦略的提携関係を持つプライベートエクイティ投資会社「Lキャタルトン」のアジアファンドは、ナチュラル化粧品メーカー「エトヴォス」と第三者割当増資および現株主が保有する株式の譲受を通じたエトヴォスの株式の過半数取得についての契約を締結した。この買収は、Lキャタルトンによる日本企業への第2号投資案件で、日本の化粧品ブランドへの投資としては第1号案件。 同社は、エトヴォスの現経営陣と密接に連携し、店舗数の拡大や顧客体験向上を含む戦略的イニシアティブを通じて成長を支援するという。

エトヴォスは2007年に尾川ひふみ氏が設立。「肌にとって、本当によいものを届けたい」というコンセプトを掲げ、ミネラルベースのメイクアップおよびセラミドベースのスキンケアカテゴリーにおいて存在感を高めてきた。同社は、社内に独自の研究開発チームを持ち、化粧品ユーザーのニーズに合った配合成分を研究・提案している。製品に使用する成分についても厳正な方針を持ち、石油系界面活性剤、紫外線吸収剤、鉱物油、シリコン、タール系色素、パラベン、アルコールの7成分を使用しない商品を提供している。専属のビューティーアドバイザーが常駐する直営店を東京、大阪、京都、名古屋に展開に展開。その他、バラエティストアやECサイト(etvos.com)を通じて幅広い商品を提供している。

エトヴォスは、アジアを中心とした海外市場への展開も計画中しており、今後はLVMHのリソースを最大限に活用するはずだ。Lキャタルトンは、全世界で17オフィスを構え、七つのファンド戦略を通じ200億ドル以上の資金を有する、世界最大かつ最もグローバルに展開するコンシューマ業界特化のプライベートエクイティ投資会社。1989年から業界を代表するコンシューマ・ブランドへの投資を200件以上も行っている。

そしてLキャタルトン・アジアは、コンシューマ業界の成長企業に対する世界最大級の投資家であるLキャタルトンのアジアファンドとして09年に設立。現在、シンガポールおよびモーリシャスにオフィス拠点を構え、香港、ムンバイ、上海、シドニーおよび東京にも拠点を有しいる。Lキャタルトン・アジアは、投資案件の発掘からコンシューマ業界特有のデュー・ディリジェンスの実行ならびに投資後の投資先企業のオペレーションにかかる付加価値提供に至るまでの投資プロセス全般において、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンおよびグループ・アルノーとの戦略的提携関係を最大限に活用し、アジア地域における消費拡大を受けて、成長が期待されるコンシューマ・ライフスタイル事業への投資を展開している。日本においては18年11月に拠点を開設し、メガネのファストファッションブランドであるOWNDAYS株式会社へ19年1月に投資を実施いる。 なお、Lキャタルトンによる化粧品分野へのこれまでの投資実績としては、ELEMIS、bliss、intercos、MARUBI、COVER FXおよびThe Honest Companyなどが挙げられる。

エトヴォスの尾川ひふみ社長は次のように述べている。

「Lキャタルトンは、グローバルのコンシューマ業界に対する深い理解や世界有数のコスメブランドへの豊富な投資実績を有しています。創業以来、一貫した企業理念で経営してきた当社にとって、さらなる成長段階へと踏み出すに当たり重要だったのは、当社のミッションに共感してくださるパートナーを見つけることでした。今後はLキャタルトンが有する業界における卓越した専門知識や業界ネットワークを活用することで、店舗数の拡大、顧客体験の向上および高品質な商品のポートフォリオの拡充を図ってまいります」

一方、Lキャタルトン・アジアの清水俊孝マネージング・ディレクターは次のように述べている。

「ナチュラル化粧品業界は、昨今の化粧品に対する安全・安心志向の高まりを背景に、今後も継続的な成長が期待されます。その中でもエトヴォスは、肌へのやさしさを追求した高品質な商品群の提供を通じて、同業界内で差別化されたブランドポジショニングを築いております。Lキャタルトンは、エトヴォスのさらなる成長に向けて、事業戦略および世界水準のオペレーション構築を積極的にご支援させて頂く所存です」

なお、経営体制の一層の強化を図るため、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン株式会社の代表取締役社長であるノルベール・ルレ氏およびCHANELの日本法人であるシャネル合同会社の元特別顧問である黒田眞稔氏がエトヴォスの社外取締役に就任する予定である。

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