“未体験ハンドリングマシーン”と呼ばれたマツダ AZ-1、その姿はまるでイタリアンスーパーカー

マツダ AZ-1

平成ABCトリオの中でも、特異なモデル

マツダ AZ-1

前回のホンダ ビート同様、「平成ABCトリオ」と呼ばれた軽スポーツカー、マツダ オートザムAZ-1。

1989年(平成元年)の第28回東京モーターショーに参考出品したユニークなコンセプトのマイクロクーペを、ほぼそのまま市販化したクルマです。

マツダ AZ-1
マツダ AZ-1

まるでイタリアンスーパーカーのような低くて地を這うような斬新なスタイル、上下に開くガルウィングドア、プラスチック製のボディ外板、そして外装を簡単に取り外せる“スケルトンモノコック”という特殊なフレームを採用するなど、特徴的なスタイリングをしています。

マツダ AZ-1

中身もそれに劣らず個性的で、660ccのターボエンジンをドライバーのすぐ後ろに配置するミッドシップレイアウトを採用し、低重心の設計や徹底した軽量化によって優れた運動性能を実現。レーシングカートのようなダイレクトでシャープなハンドリングも「AZ-1」の特徴でした。

搭載するエンジンは、ライバルのスズキ カプチーノやアルトワークスにも搭載されていたF6A型直列3気筒DOHCインタークーラーターボで、最高出力は自主規制値いっぱいの64psを発揮しました。

座席のすぐ後ろから響く大きなエンジン音や運転時の視線の低さから、体感速度はひときわ高く感じられました。

さらに44:56という前後重量配分、720kgという超軽量な車重、ロック・トゥ・ロック2.2回転というやたらクイックなステアリング機構等により、コーナリング特性は抜群でした。

マツダ AZ-1
AZ-1(1992年発売)「マツダスピード」660DOHCターボ

そんなスポーツテイスト満載のAZ-1でしたが、発売時期にはバブル経済が崩壊。ライバル「ビート」や「カプチーノ」よりも高価だったりと“キワモノ”感は否めなく、販売台数も4400台弱と伸び悩み、1年で生産打ち切りの憂き目に。現在、中古市場では逆にレアな出物として愛好家に支持されています。

ダイハツ コペンやホンダ S660など、軽スポーツカーが再び支持されだしている現在、タイミングが違ったらAZ-1はどうだったのかな、なんて考えたりしてしまうものです。

次回予告☆

このコーナーでは、日本独自の規格の中で成長してきた軽自動車についてアレコレ掘り下げていきます!

次の更新は4月9日(木)。 来週もお楽しみにー!

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