マクラーレンF1、サウサンプトン大学と協力。新型コロナウイルス治療を行う医療スタッフの保護具を開発

 マクラーレン・グループは、イギリス国内の新型コロナウイルス救援活動の支援のため、自動車部門と応用技術部門の専門知識を活用している。エンジニアはサウサンプトン大学と提携し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を治療しているNHS医療スタッフ向けの保護具を開発する。

 サウサンプトン大学の声明ではこの保護具について、「サウサンプトンで開発された初期の試作品には、着用者の頭部を覆う布製のフードがついており、顔面を保護するためのプラスティック製のバイザーと一体化されている」と述べられている。

「小型の携帯装置がHEPAフィルターを通して、ベルトに取り付けられたバッテリー駆動の送風器から着用者に清浄な空気を送り込む」

「試作品は既製品の部品を使用しており、病院での最初のデモンストレーションで医師、看護師そして患者から好意的な反応があった。医師や看護師は快適さと使いやすさに関するフィードバックを返すため、今週日常業務を通して病棟で試作品をテストする予定になっている」

「テストが成功し、試作品が必要な安全認証を取得した場合、このコンセプトはオープンソース状態で公開されるため、世界中の他のメーカーや組織が利用できるようになる」

「チームのエンジニアは、開発途上国において入手可能な部品のみを使用した、より簡単な試作品の開発についても調査する予定だ」

 サウサンプトン大学の呼吸器内科教授であるポール・エルキントン氏は、医療スタッフを守り、保護することの重要性を強調した。

「我々は医療スタッフの感染リスクを最小限に抑え、パンデミックの最盛期に彼らが病気にかからないようにしなければならない。そうすれば彼らは他の人々の治療ができる」とエルキントン氏は語った。

「エンジニアリングチームは、シンプルだが効果的なものを短期間で開発した」

「HEPAフィルターで処理された空気は99.95%の粒子状物質が除去されるし、フェイスマスクはしぶきがかかるのを防ぐ。我々はこれらのものが感染のリスクを軽減するだろうと考えている」

 イギリスに拠点を置くF1チームは、極めて重要な救命医療装置供給に関する支援を求めた政府の要請に応える形で、すでに『プロジェクト・ピットレーン』と呼ばれる取り組みにおいて一致団結している。

 メルセデスF1チームは今週、ブリックスワースのハイパフォーマンス・パワートレインズ・エンジン部門が部分的に開発した呼吸器の最初の試作品を納入したことを発表した。

© 株式会社三栄