【MLB】何故経済支援が受けられない… 球場勤務者悲痛「私たちが存在しないかのように…」

経済支援受けられぬ球場勤務者が悲痛な訴え【写真:Getty Images】

ドジャースやエンゼルスは、球団雇用ではない球場勤務者への支援はしていないという

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が大幅に遅れる見込みの今季のメジャーリーグ。試合が実施されないため、球場に勤務する人々は困り果てている。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」は「ドジャースやエンゼルスから経済的支援を得ていないスタジアムの労働者が助けを求めている」とのタイトルで現状をレポートしている。

 フアン・ルナさんは毎年、シーズン中は野球場で働いている。ドジャースが本拠地で試合をするときは「ドジャー・スタジアム」の調理場で、エンゼルスが本拠地で試合をする時は、「エンゼル・スタジアム」内の売店でレジ業務を務めている。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この2つの野球場は開幕延期のために閉まったままだ。3月17日、ドジャース、エンゼルスを含めた全30球団が球場に勤務する人のために、それぞれ100万ドル(約1億700万円)の経済援助を決めた。ルナさんは経済援助を受けられると思ったが、ここまでお金を受け取っていないという。球団に直接雇用されているのではなく、「球場で売店を運営する会社に雇われていることが状況を複雑なものにしている」と記事は指摘している。

「この状況に、とてもストレスを感じている。この収入を当てにしていたから」とルナさんは語っている。

ドジャースタジアム勤務歴30年のリードさん「正しい選択をしてくれることを願っている」

 メジャーリーグの職員の話によると、球団が100万ドルをどのように使うかや、どの程度の援助を行うべきかについて、リーグから制限はない。しかし、球団が100万ドルの援助を約束したのは、主に球団の雇用者に対してであるという。

 記事によれば、球場で働く全ての人に支援をすることにした球団もあるという。レッドソックスは運営会社に雇用されている球場従業員も含めると語った。一方、ドジャー・スタジアム、エンゼル・スタジアムの売店を運営するそれぞれの会社は、失業手当を受ける手続きをとるようにアドバイスしているという。

 エンゼルスは「どのように支援するか考えている」と支援策を考えていることを示唆。一方、ドジャースはこの件についてコメントしていない。

 ドジャー・スタジアムで30年間勤務し、スタジアムにあるバーでマネジャーを務めるディーディー・リードさんは「私達はファンと直接関わっている。でも、球団は今、まるで私達が存在しないかのように扱っている。ドジャースとエンゼルスが(経済支援という)正しい選択をしてくれることを願っている」と語っている。

 米メディアが「7月1日開幕」と報じたり、シーズン中止の可能性を指摘したりするなど、先の見えない今季のメジャーリーグ。支援を受けられない球場勤務者の叫びは悲痛だ。(Full-Count編集部)

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