企業版ふるさと納税、全国に拡大する気配 自治体による「社会的意義」の訴求がカギ

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企業版のふるさと納税、正式名称『地方創生応援税制』に対して、多くの企業が興味を持っていることが調査によりわかった。この調査を行ったのは、ふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』(https://www.furusato-tax.jp/)を運営する、株式会社トラストバンクで、全国の企業規模300名以上の大企業に勤める、同税導入に決定権のある400名を対象としたもの。

この“企業版のふるさと納税”は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対し、企業が寄付を行った際に税額が控除されるというもの。2020年4月には法改正が行われ、制度の期限が5年延長され、さらに税額控除の割合はさらに約3割拡大して最大9割となった。これにより企業は実質約1割の負担で自治体に寄付できるようになる。

今回の調査では、制度の認知度は約8割(法改正内容まで理解しているものは5割)にものぼったが、その活用は現状進んでいるとはいいがたい。2018年度の寄付実績は34億円前後であり、個人版ふるさと納税の5127億円にくらべるとその数字はあまりに小さい。

控除が行われるだけではなく、企業のCSRとしても良いはずなのだが、なぜ利用がこれほど少ないのだろうか。

今回の調査で、改正後に「利用する気がない」、もしくは「利用したいが難しい」と回答した人を対象に、その理由について聞いたところ、37%の人が「利用するメリットを感じられない」と回答。たしかに、企業版のふるさと納税はたしかに、個人のそれのように返礼品などわかりやすいメリットがあるものではなく、あくまで地方創生プロジェクトに寄付として貢献するものだ。

それだけではなく「自治体のプロジェクトに魅力を感じない」と回答した人も23.9%にのぼり、自治体のプロジェクトが必要性や共感を得る必要があるという、大きな課題もわかった。

一方で、地方創生応援税制の利用に前向きな企業は、大きなメリットを感じているようだ。企業が寄付することで、「地方自治体との関係構築」と回答した人は61.2%。知名度工場やブランディングではなく、寄付する先の地方自治体との関係が結べる可能性を、メリットと考えている企業が多いということだ。

このように前向きに考えている企業でも、寄付先の自治体を選ぶ際の基準については、50%が「プロジェクトの社会的意義」と回答しており、プロジェクトの必要性や共感性がやはり重要なカギになっている。

企業側の寄付したいプロジェクトとしては、半数以上の企業が「環境保全」(54.5%)、次いで「災害」(44.3%)、子どもの教育(43.0%)となっている。たしかに企業の生産活動、特に製造業を中心とする企業にとって環境問題は社会に直接的に影響を及ぼす問題だけに、責任感・関心が高くなると思われる。

今回の調査をおこなったトラストバンクも、今後この企業版ふるさと納税事業を本格展開するという。企業から自治体への地域創生に寄与する「事業提案」から、自治体の事業に必要な「資金調達」まで一気通貫のスキームを提供する、同社ならではのものだ。

実際、こういったものがないと、企業版ふるさと納税は企業にとってもハードルが高いのも間違いない。自治体が地方版総合戦略に基づいた地域創生プロジェクトを立案し、内閣府から認可を得る必要があるからだ。そのため、全国85%超を占める1,500を超える自治体とのネットワークをもったトラストバンクのような企業は、寄付したい企業と自治体の潤滑油として大きく機能するだろう。

現時点ではまだ問題点もある企業版ふるさと納税だが、こういった企業側の認知、自治体側のプロモーション、トラストバンクのようなハブとなるサービスなどが結びつき、今後大きく広がっていきそうな気配だ。