【林昌範の目】開幕延期で選手が直面する調整の難しさは? 緊張状態を保つ苦労と不安

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現役時代、巨人などで活躍した林昌範氏【写真:楢崎豊】

開幕までを逆算して調整、延期でこの全てが狂うことに…

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、首都圏で感染者数が急増している状況になっています。現在できることは少しでもリスクの高い行動を避けることなので、僕も不要不急の外出は控えています。1日も早い収束を祈るばかりですね。

 プロ野球の公式戦開幕も4月24日以降に延期になり、選手にとっては非常に難しい調整になっていると思います。メディア報道を見ると、ある選手が「調子を一度落とすことは難しい」と話していましたが、本当にその通りだと思います。

 当初の開幕戦は3月20日でした。選手たちは当然、この日に100%とまではいかなくても、90%ぐらいまで心身のコンディションを整えられるように自主トレ、春季キャンプ、オープン戦と逆算して調整します。先発投手は球数、イニングを重ねることで仕上げていき、救援投手は登板間隔を狭めてオープン戦終盤は連投で投げるなど実戦モードに入ります。打者も同様です。主力はオープン戦で打席数を重ねることで精度を高めていきます。

 ただ、開幕戦が延期になることでこの予定がすべて狂うことになります。私の経験上ですが、公式戦の間隔が1週間空くだけで調整の難しさを感じていました。現役時代は公式戦を終えてクライマックスシリーズに備え、宮崎のフェニックスリーグに参加したことがありました。

 この時も本番を想定して緊張状態を保つのに苦労したことを覚えています。あの時は2週間程度でしたが、今回は1か月以上開幕が延期になっています。自主練習の期間を設けるなど、各球団で調整法を工夫していますが、一度仕上げたコンディションを少し落とすのは非常に勇気が要ることです。

 一度落として再び上げる時に「本当に上げられるのか?」という不安は当然あります。この時期にペースを落としたことはないのでなおさらです。一度落とした調子を一気に上げようとして故障する怖さもあります。

 選手だけではありません。本番に向けて実戦も満足に組めない状況なので、首脳陣も選手の起用法に神経を使うと思います。異例の事態で苦労は多いと思いますが、故障だけには気を付けて調整してほしいです。今は我慢の時ですが、野球ファンと同じ気持ちです。選手たちがグラウンドで躍動する姿を見たいですね。文/構成 インプレッション・平尾類