通信制高校では、入試で全日制高校のような学力テストを実施しないことが多いため、基本的に偏差値というものがありません。子供が通信制高校への進学を検討している場合、偏差値以外の判断基準が必要になります。この記事では、通信制高校を選ぶ際に偏差値の代わりとなる判断基準について紹介します。
偏差値の代わりになる通信制高校の判断基準
全日制の高校の場合、偏差値は学校選びの基準として重要な要素の1つです。これに対して偏差値がない通信制高校では、入試の難易度以外の基準で高校を選ぶことになります。
通信制高校は、通学のスタイルや学習する内容、力を入れている教育分野など、学校によってさまざまな違いがあります。学校ごとの特徴を知って、子供がどんな高校生活を送ることになるのかをイメージしてみることが重要です。
コースの選択肢と内容で選ぶ
通信制高校には学校によって異なる多彩なコースがあり、通学の頻度や学びたい内容によってコースを選ぶことができます。例えば、茨城県・大阪府・愛知県の3ヶ所に校舎を構える「ルネサンス高等学校」では、以下のようなコースがあります。
コース名 通学頻度 特徴 通信コース 年4日程度 インターネットで授業を受けることができる スタンダードコース 週3~5日 同級生と一緒に授業やイベント・課外活動を行う eスポーツコース 週2日 プロゲーマーになるためのゲームスキルや、動画編集・配信スキルなどを身に付ける アート&サイエンスコース ー 生徒自身が「探求」したいテーマを決め、教員がサポートする 個別授業コース 週4日程度+自由選択 提携サポート校「トライ式」の講師が、勉強の学力アップや大学進学をサポート エステティックコース 週4日程度
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在学期間中に16日~
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週1回程度
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月3日
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自由選択
参考
多彩なスタイル | 通信制高校のルネサンス高等学校
「なるべく登校日数を少なくしたい」、「勉強のフォローをしっかりしてほしい」、「高校卒業以外の資格も取りたい」など、通信制高校に求めるものは人それぞれです。まずは親子で話し合い、子供の希望を把握しておくことが大切です。
大学の合格実績で選ぶ
将来的に大学への進学を希望する場合は、卒業生の大学合格実績も立派な判断基準になります。例えば、全国にキャンパスを展開する通信制高校「クラーク記念国際高等学校」は、過去5年間で以下のような大学合格実績があります。
国立大学 東京大学・京都大学・北海道大学・東北大学・名古屋大学・大阪大学・筑波大学・東京工業大学・東京外国語大学・横浜国立大学・千葉大学・長崎大学(医学部)・和歌山大学・宇都宮大学・埼玉大学・信州大学・静岡大学・神戸大学・広島大学・岡山大学・九州工業大学・熊本大学・鹿児島大学 ほか 公立大学 首都大学東京・横浜市立大学・埼玉県立大学・高崎経済大学・都留文科大学・名古屋市立大学・大阪府立大学・大阪市立大学・兵庫県立大学・神戸市外国語大学・県立広島大学・北九州市立大学・長崎県立大学・秋田公立美術大学・国際教養大学 ほか 私立 北海学園大学・北星学園大学・酪農学園大学
東北学院大学・東北芸術工科大学・東北福祉大学
早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学・国際基督教大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・東京理科大学・学習院大学・東京薬科大学・日本女子大学・東京女子大学・津田塾大学
南山大学・名古屋外国語大学・金城学院大学・愛知淑徳大学・名城大学・福山女学院大学・岐阜聖徳学園大学
関西学院大学・関西大学・同志社大学・立命館大学・京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学・関西外国語大学・京都外国語大学・神戸女学院大学・武庫川女子大学
広島修道大学・立命館アジア太平洋大学・西南学院大学・福岡大学・IPU環太平洋大学
モナシュ大学・オーストラリア国立大学・ダブリン・シティ大学・高麗大学・上海外国語大学・国際大学IPU NewZealand ほか
参考
進路指導・進学実績|クラーク記念国際高等学校
また、大学進学に強いサポート校を活用するという方法もあります。サポート校とは、通信制高校に通う生徒の勉強をサポートする学習塾のようなものです。サポート校「トライ式高等学院」では、2019年の大学合格者が426名出ており、うち26名が一橋大学、岡山大学、帯広畜産大学、筑波大学などの国立大学合格者です。
参考
通信制高校で大学進学|通信制高校・サポート校のトライ式高等学院
通信制高校から偏差値の高い大学への進学は可能
「クラーク記念国際高等学校」の大学合格実績から見ても分かるように、通信制高校から偏差値の高い大学へ進学する生徒はいます。ただし、誰もが必ず大学に進学できるというわけではありません。
通信制高校からの大学進学率
以下のグラフは、全国の通信制高校卒業者の進路状況を表したものです。
参考
令和元年度 学校基本調査 | 文部科学省
通信制高校卒業者の大学進学率は18%で、およそ5人に1人ということになります。卒業生の半数以上が大学進学をする全日制高校と比べると低い数値といえます。
大学進学を目指すなら学校選びは慎重に
大学進学率が決して高いとはいえない通信制高校。大学進学を目指すのであれば、学校選びを慎重にする必要があります。志望校の合格実績がある学校、大学受験に向けた学習環境が整っている学校、大学進学に強いサポート校や予備校とのWスクールなど、大学進学に焦点を当てた学校選びをしましょう。
通信制高校に通うメリット
通信制高校に通う最大のメリットは、全日制の高校と比べて自由に使える時間が多いことです。登校しなければならない日数は学校によって違いますが、ほとんどが全日制高校よりも少ない登校日数で、年間4日程度で卒業できる学校もあります。
ただし、日々の生活は自分で管理しなくてはいけません。自由な時間がたっぷりあるというメリットを活かすためには、入学前に有意義な時間の使い方をイメージしておくことが重要です。
受験勉強に集中できる
通信制高校では、大学の受験勉強に専念するという時間の使い方が可能です。全日制高校は、1つの学期に2回定期テストがあるため、日々の授業をしっかりと受けてテストに備える必要があります。また、授業は大学受験に必要のない内容も含まれています。
通信制高校なら、こういった時間を志望する大学の受験勉強に充てることができるので、効率よく大学合格を目指すことができます。
自分の「好き」を伸ばすチャンスがある
自由な時間の活用法は、なにも勉強だけではありません。音楽やスポーツなど、子供が自主的にやってみたいと思えることに全力投球させてあげるのも、有意義な時間の使い方といえるでしょう。
多感な時期に小さな成功体験や感動体験を積み上げていくことは、子供の自信にもつながります。ただし、進級や卒業に必要なレポートの提出だけは、しっかりとできているか注意しておきましょう。
おわりに
偏差値のない通信制高校は、入学試験の難しさで志望校を選ぶことができません。そのため、コース内容などを確認し、どんな学校なのかをしっかりと見極める必要があります。学校選びを通して、お子さんの好きなことや挑戦してみたいことについてじっくりと話し合ってみてはいかがでしょうか。