税金作文の書き方は?わからないときは身近な税金からエピソードを探そう

国税庁が募集する「税の作文」などの税金作文。長期休暇などの課題として提出を指示され、毎年書き方に悩む子供も多いそうです。大人にとってはやや負担というイメージが強い税金ですが、子供にはあまり接点がありません。どのようにすれば税金作文を書くことができるのか、まずはきっかけ作りについて解説します。

税金作文の書き方が分からない!

税金作文について悩む子供は少なくありません。作文が苦手な子供はもちろんですが、普段身の回りのことに関する作文なら特に苦労せずに書ける子供でも難しさを感じるようです。理由の一つには、税金に対しての知識・経験の乏しさがあるでしょう。

税について関心を持ち、理解することが目的の作文

子供を対象にした税金作文は、税金について専門的な立場から考察することを求めるようなものではありません。税金作文を募集している国税庁はこのように解説しています。

これは、将来を担う中学生の皆さんが、身近に感じた税に関すること、学校で学んだ税に関すること、テレビや新聞などで知った税の話などを題材とした作文を書くことで、税について関心を持ち、正しい理解を深めていただくという趣旨で実施しているものです。

(引用元:令和元年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表 税の学習コーナー|国税庁)

大人でも所得税や住民税が天引きになっていると、自分がどのくらい税金を払っているのか実感を持ちにくいものですが、子供であればなおさらです。まずは税金について関心を持つこと、関心を持てるようなきっかけを探すことから始めましょう。

まずは身近なところから税金について調べてみよう

税金が生活者にとって非常に身近なものであるのは少し調べてみれば分かりますが、そのことに気づかずに生活している子供は少なくないでしょう。身近な税金について調べる方法は幾通りもありますが、ここではまず「自分の家庭」から始めてみることをおすすめします。

うちではどんな税金を払っている?

我が家ではいったいどんな税金を払っているの? この疑問に答えるには大人の手伝いが必要です。消費税以外の税金を自分で支払ったことがある子供は多くないでしょうから、普段払っている税金について解説してあげてください。

消費税

2019年10月に増税されたばかりの消費税は、子供にとって最も実感が湧きやすい題材かもしれません。キャッシュレス決済による割引も同時に導入されて話題になりました。ただし、18歳未満はキャッシュレス決済をほとんど使えませんので、「大人と比べて不公平だ」と感じている子供もいるかもしれません。そういう実体験から調べ始めると、作文に具体性が増すでしょう。

どうして8%と10%の消費税があるのか? 増税と一緒に始まったキャッシュレス決済の割引はいったい誰が負担しているのか? どうして増税したのか? など、さまざまな観点から掘り下げてみましょう。

所得税

給与所得者のほとんどは、給与の支払時に所得税が天引きされています。年末調整で戻ってくる人もいれば、逆に支払わなければいけない人もいるでしょう。また、住宅ローンなどのために確定申告をしている人は、のちに還付金が口座に振り込まれます。

このような一連の流れは子供には馴染みのないものです。「具体的な家庭の収入の話を子供にしたくない」という家庭もあるかもしれません。その場合はモデルケースを使って解説してあげると良いでしょう。

また、国税ではないため国税庁の税金作文にはそぐわないかもしれませんが、給与から天引きされる税金には住民税もあります。所得税と合わせると家計にとってそれなりの負担となることが分かりますので、参考までに解説してあげると良いでしょう。

参考

税率・税負担等に関する資料 | 財務省

贈与税や相続税

子育て世帯にもそう遠くない未来に関係してくる可能性があるのが贈与税や相続税です。すでに子供の学費関連で、NISAや学資保険について実親と相談したことがある人もいるかもしれません。子供や孫への資金提供も金額によっては贈与税が発生するため、ある程度の知識は欠かせません。

また、相続によって不動産などを取得すると相続税が発生しますが、高額な相続税を払うために相続した不動産を売却するといった事例も珍しくありません。これも子供には経験のないものですから、具体例を出して説明してあげてください。

参考

相続した不動産を売却して相続税を納税するには?| 【小田急不動産】

税金ってどこに使われている?

所得税と住民税を合わせると、所得に応じて収入の10〜55%が税金として徴収される日本。各家庭が支払っている税金は子供たちが思っているよりも高額かもしれません。それでは、これらの税金はいったい何のために使われているのでしょうか。

学校

子供たちにとって最も身近で、かつ最も税金が投入されている施設は学校でしょう。公立校なら土地・建物の取得から教職員の給与までほぼすべてが税金によって賄われています。

どこからどこまでが税金によるものなのかを調べてみても良いでしょう。義務教育課程の公立校であれば授業料や教科書代は無償となっていますが、給食費は各家庭から徴収されています。また、制服がある学校は制服代も家庭の負担となります。

どうしてそのようになっているのか? この決まりを変えてみるとより良い教育が実現できるのか? などの問いかけに、子供たちなりに考えてみることもできます。

学校に投入されている税金、特に無償化の範囲については以下の記事でも詳しくご紹介していますので併せてご覧ください。

義務教育、無償の範囲とそれ以外の費用は?就学援助制度について

病院

「病院はお金を払うところ」という印象を持っている子供も多いので、実は多額の税金が投入されていることを知ると驚くかもしれません。病院の診療費などは窓口負担と健康保険だけでなく、税金からも財源が投入されています。。

また、日本の社会保障費の主な財源になっている健康保険・年金・介護保険は国民全員が加入することが前提です。そのため「実質的な税金ではないか」という意見があるのも事実です。例えば、社会保障費を税金にしたらどうなるのか? そのような運用をしている国はあるのか? などについて調べてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

参考

[国の財政] 歳出~社会保障関係費~ 税の学習コーナー|国税庁

会社

民間企業にも税金が投入されています。国が推進したい政策に沿った事業を展開している企業には補助金や助成金が出ることがあります。

また、経営難に陥った企業に対して国が支援を行うこともあります。銀行などでしばしば見られるケースです。「公的資金」というキーワードで調べてみると、どのような運用を行うべきなのかについて現在も議論が起こっているのが分かります。

参考

補助金申請システム(Jグランツ)を開発しました | (METI/経済産業省)

公的資金による企業再生支援のルールを明確に! 自民党有志が「公正競争条件確保法案」を議員提案へ(塩崎 恭久) | 現代ビジネス 講談社

なぜ銀行だけは公的資金を使って救済するの?一般企業と銀行の違い | F-Style Magazine

役所や警察・消防

いわゆる「お役所」組織の運営はすべて税金によって賄われています。子供には市役所や県庁などは馴染みのない施設かもしれませんが、交番に落とし物を届けたり、消防署に社会科見学に行ったりする機会はこれまでにもあったのではないでしょうか。

これ以外にも道路を作ったり補修したりするための機関など、生活に密着した場所に多くの税金が使われています。「こんなところにも税金が使われていたのか!」というものを探してみましょう。

見つけたエピソードをもとに構成してみよう

作文は自分の考えたことを読み手に伝えるものです。子供自身の新鮮な驚きや興味関心から出発するとエピソードに具体性が増し、説得力が出ます。税金について調べた中から中心となるエピソードを一つ決め、構成してみましょう。

起承転結

起承転結はある程度の長さが求められる作文をまとめるのに使いやすい構成です。話がそれたり広がりすぎたりするのを防ぎつつ、いくつかの具体例などを盛り込むことができます。例として「学校教育」を取り上げてみるとこのようになります。

  • 起:税金は縁遠いものと思っていた
  • 承:子供にとっては消費税くらいしか身近なものがないからだ
  • 転:でも、自分の教科書も税金で作られていることを知って驚いた
  • 結:どう税金を使ったらより良い教育が行われるのか考えてみた

序破急

序破急は勢いがあり、伝えたいことのインパクトを強めるのに便利な構成です。

  • 序:税金作文について書けることがなくて悩んでいた
  • 破:ある日路上で具合が悪そうな人を助けたら警察や消防などたくさんの人が来てくれた
  • 急:普段意識していないだけで、税金はわたしたちの生活を助けている

やや構成がシンプルになりすぎてしまうこともあるので、作文で伝えたい内容のメインが「破」にまとめられるときに使うと良いでしょう。

まとめ

税金作文は、税金との接点が少ない子供ならではの新鮮な視点を大切にしたいものです。身近なところから考え始めることができるよう、大人がヒントを与えてあげてください。

参考

令和元年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表 税の学習コーナー|国税庁

税の作文の書き方は?小学生・中学生・高校生がそのまま使える例文を一挙公開 | 小論塾

もくじ(中学生向け) 税の学習コーナー|国税庁

目次 (高校生向け) 税の学習コーナー|国税庁

令和元年度「税に関する高校生の作文」国税庁長官賞受賞者発表 税の学習コーナー|国税庁

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