「新型コロナにかからない自信はありますか?」自動音声電話に応じてみると

営業などでアトランダムに電話をかけて、見込み客を取り込む手段として使われるのが、自動音声によるガイダンス電話です。あらかじめコンピューターに番号を入力しておけば、一気に電話をかけられるので、とても効率的です。そのため、詐欺や悪質商法でもよく利用されているのです。


コロナを引き合いに出す自動音声電話

自動音声を使って電話をかける手立ては数年前から起こっていますが、最近は新型コロナウィルス絡みも出てきています。

「コロナウィルスにかからない自信がありますか?」と女性の声で自動音声が流れます。そして「自信がある人は、7番。自信がない人は8番を押してください」と促されます。次の質問は「サプリメントなどを飲んでいて、免疫に自信がありますか?」と同様の番号を押すように言ってきます。さらに、男女の別を聞く質問へと続きます。アンケートを装っていますが、電話をかけた相手の個人情報を探り、この後に詐欺か悪質商法を行おうとしていると思われます。

以前に、私のところにも「不動産のアンケートを行っている」という自動音声の電話がかかってきたことがあります。番号のボタンでアンケートに答えると、最後に「プレゼントを差し上げますので、ご住所をお願いします」と言われましたので、音声を吹き込むと、後日、花の種が送られてきました。それからが大変でした。執拗に投資関連の勧誘電話がかかり、ダイレクトメールもたくさん届きました。

今回の新型コロナ絡みの自動音声には「サプリメント」「免疫」などのキーワードがありますので、もし正直にアンケートに答えると、健康食品を買うように電話でしつこく迫られたり、質問で得られた個人情報を利用して、詐欺師から電話がかかる可能性があります。

自動音声の場合、「0120」のフリーダイヤルで電話がかかることも多いのですが、この時の電話は非通知でかかってきており、相手の身元がわからず、極めて危険だといえるでしょう。

過去の自動音声を使った手口

3~4年前には「有料コンテンツの料金未払いが発生しています」という自動音声を流して、「料金の確認や支払い方法についてはダイヤル『1』、利用料金に身に覚えがない方は『2』を押してください」と指示するものもありました。音声案内に従って、どちらかの番号を押してしまうかもしれません。ですが、どちらを押しても、オペレーターになりきった詐欺師につながり、お金を払うように要求されてしまいます。騙されないためには、どちらの番号も押さずに切ることが必要ですが、自動音声の場合、生声ではなく機械的な声なので、つい耳を傾けて話に応じてしまいがちになります。

このところ、実在する会社名で、エコロジーに関したアンケートなどと称した自動音声がかかってきています。知人宅には「最大60万円の補助金が12月に発表されました」という女性の声でメッセージがあり「〇〇社と申します。アンケートに協力くださり、をこのまま続けてもよろしい方は、電話機の1番を(押してください)」というガイダンス電話がかかってきています。

おそらく、太陽光発電の設置や省エネ関連商品の販売を迫る営業電話につながると思われます。社名や電話の文言を調べると、すでに各方面から注意喚起されていました。また同名の会社にも苦情などが寄せられているようで、自社のHPで「当社は電話での営業はしていない」との記述もみられます。同名の会社になりすまして、電話をかけている可能性も充分に考えられます。

電話を切った後も用心

もうひとつ話しておきたいことは、アンケートに答えず電話を切ったとしても、それで100%危険を回避できたわけではないことです。もし質問に答えなかったとしても、こちらの電話番号が生きていることを知られてしまっており、後日、改めて人の声で直接に電話をかけてくるケースもあります。

この自動音声ガイダンスを利用した勧誘や詐欺電話自体は、新しいものではありませんが、今は新型コロナの蔓延により、在宅率が高くなっているので、そこに目をつけた詐欺や悪質業者がこれから執拗にかけてくることでしょう。騙しの手口は忘れたころに、再び暴れだすものです。アポ電などの不審電話が多発している昨今、数年前に流行った自動音声ガイダンス詐欺への警戒が必要になってきています。

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