斜面崩落の逗子市道一部再開 女子高生死亡事故から2カ月

応急工事を終え、一部で通行が再開した市道=3日午前10時5分ごろ、逗子市池子2丁目

 神奈川県逗子市池子で斜面が崩落し、県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が死亡した事故現場で3日、通行止めが続いていた斜面下の市道の一部が通行再開された。5日で事故発生から2カ月となるが、地域住民からは女子生徒を追悼すると同時に、事故の再発防止を求める声が上がっている。

 市は3日までに、崩落部分と周辺のモルタル吹き付け、仮設防護柵(長さ約50メートル、高さ約4メートル)設置などを完了した。崩落が起きた斜面の反対側の歩道と車道の通行止めが午前10時ごろに解除されると、約2カ月ぶりに車両や自転車などが通行を再開した。

 崩落現場のそばには、この日も生徒を悼む色とりどりの花束をはじめ、ジュースや書籍などが並べられていた。市内在住の男子学生(18)は、友人が女子生徒と同級生だったといい、身近な命を奪った崩落に「悲しい事故が起きないよう、危険な斜面の補強が必要だと思う」と話した。

 近くに住む主婦(76)は、迂回路の市道でバスなど車両の交通量が増加しているといい「一部でも再開してほっとした」と歓迎しつつ、「女子高生のことを思うと胸が痛む」ともらした。外出時は斜面下を避けて歩くようになったという住民(96)は「事故が起きる危険は各地にある。この斜面がまた崩落しないよう、全体の工事を急いで」と求めた。

 市都市整備課によると、終了したのは応急工事で、現在は斜面全体の安全対策工事を設計中。本格工事を終えた後、市道を全面再開させるという。

 市は今後、崩落斜面を所有するマンション管理組合と費用負担を協議する。組合側は費用や遺族への対応方針について「現状は取材を受けられる状態ではない」としている。

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