開幕再延期に「困ったね…」 辣腕コーチも四苦八苦「調整のゴールが見えない」

新たな開幕日程は白紙となり、現場からは悲鳴が上がっている

別のコーチは球団対応を「コミッショナー命令で統一して」と指摘

 日本野球機構(NPB)は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3日に開いた12球団代表者会議で、目指していた今月24日の公式戦開幕を断念したが、新たな日程は白紙。現場からは悲鳴が上がっている。

 ある球団のベテランコーチは「困ったね。3月11日に東日本大震災が発生した2011年よりも深刻な状況だ。あの年も開幕が延期(当初予定の3月25日から4月12日へ)になったが、比較的早く新たな日程が定まったから、まだしも調整の仕方があった。今回は調整のゴール(開幕日)が見えないから、モチベーションを保ちにくい。投手の方が難しいと思う。それに、コロナウイルスに絶対感染できないという別の重圧、心配もある。特に独身で1人暮らしの選手は、外食できないことで生活のリズムが崩れることが心配だ」と嘆く。「せめて無観客で構わないから、練習試合を組める状況になってほしい。あまり試合勘を鈍らせたくない」と熱望している。

 別のコーチは「こればかりはどうしようもない。感染拡大に終息の気配がみられない以上、開幕日を決められないのは仕方ない」と理解を示しながらも、「コーチから選手にハッパをかけるとすれば、目標とする開幕日が決まってから。現時点では顔を合わせる機会自体減っているし、かける言葉も見当たらない」と困惑している。一方で「全体練習を行っているところから、自主練習、活動停止や自宅待機に至るまで、チームによって対応がまちまちで不公平感がある。ここはコミッショナー命令で統一してほしい」と訴える。

 開幕延期は11年以来だが、実情は当時よりさらに過酷。選手のコンディション維持が日に日に難しくなる中、“3密”の回避などを徹底した上で、新型コロナウイルスの1日も早い終息を願う以外、手の打ちようがないのが現場の実情だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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