法律から歴史が見える

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「民法」という法律があります。契約のルールや結婚、相続といった家族に関するルールを定めた法律で、私たちの生活と深い関わりを持つ法律です。この民法の中には、ある動物が登場するのですが、それは一体何でしょうか。人間に一番身近な動物である犬?それとも、農業に必要だった牛馬?

答えは「蚕」で、蚕の卵と桑の葉の売買に関する規定(民法311条と322条)に登場します。養蚕は明治時代、日本の重要な産業であり、多くの家庭で蚕を飼っていました。民法が制定された当時の人々の暮らしが見て取れます。民法には、2005年までは「旅客、其従者及ヒ牛馬ノ宿泊料」という形で「牛馬」も登場していました。時代劇の宿場町を思い起こさせます。

犯罪行為と刑罰について規定する「刑法」。明治13年に太政官布告により定められた旧刑法においては、電気の窃盗について想定していませんでした。そのため、明治時代には電気を勝手に使用する行為が窃盗に当たるかが争われた事件がありました。控訴審においては、「電気はエーテルの振動現象であり、物質ではない」という大学教授の証言もあり、無罪となりましたが(エーテル理論は、現在では採用されていない物理学理論です)、大審院は、電気も管理可能であるとして有罪としました。このような論争を受け、明治45年に施行された刑法においては、「電気は、財物とみなす」との規定が設けられました。

古くに作られた法律をひもとくと、当時の人々の暮らしや歴史を垣間見ることができます。

ようてい法律事務所弁護士 渡邉恵介
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