2020年シーズンのロードレース世界選手権が3月8日に開催され、開幕戦カタールGPのMoto2クラスで長島哲太(Red Bull KTM Ajo)がキャリア初優勝を飾った。その長島に独占インタビューを行い、Red Bull KTM Ajoに移籍した経緯や、開幕戦の振り返り、新型コロナウイルスの影響で序盤戦が延期していることを受け、ファンに向けてメッセージを聞いた。
長島は、2019年11月末のバレンシアプライべートテストでRed Bull KTM Ajoのマシンのシェイクダウンを行った。はじめはマシンのフィーリングをつかめず苦労したようだが、2月に行われた3日間のヘレステストでは総合4番手と上位につけた。
「バレンシアのプライベートテストでは苦戦していて、思ったように乗れていませんでしたが、2月のヘレステストからタイムが良くなってきました。なによりテスト項目の多さや作業がしっかりしており、それをこなせたことと作業内容をみて自信に繋がりました」
「これだけ作業をしたことで決勝に向けて大丈夫だという自信になったので、いい形で組み立てられていたのかなと思います」
カタールテストを経て、同地での開幕戦カタールGPに挑んだが、レースウイークに入ったタイミングでは「(勝てる感触は)まったくなかったです。テストからタイムは悪くなかったのですが、飛び抜けて良かったわけでもなくて常に3~5番手でした。表彰台も目指していましたが、開幕戦なので6位以内が目標でした」と語った。
フリー走行3回目を終えて総合4番手タイムを記録し、予選Q2にダイレクト進出を決めていた長島だったが「予選では失敗をして14番手スタートになり、表彰台は難しいかなと思っていました」と言う通り、5列目からのスタートとなってしまった。
「ですが、決勝が始まると意外とペースが良くて、安定していたのでレース中盤から“表彰台はいける”と確信しました。そして残り3周でトップに立って、後続を引き離したあたりで“勝てる”とようやくそこで思いました」
「昨年はレース中にポジションを落とすことが多く、他車を抜けずに苦戦していました。しかし昨年と違い、今年はかなりオーバーテイクが楽で簡単に上位に入れていたし、抜かれることもほぼなく自信を持って走れました。でも勝てるとまでは思いませんでした(笑)」
2020年初レースのカタールGPで勝利を挙げ、ポイントランキングでもトップに立つ長島は目標について「もちろんチャンピオンもですが、ランキング3位以内を目指しています。来年はMotoGPにステップアップしたいのでそれが目標です」と意気込んだ。
「MotoGPクラスに上がるチャンスがようやく巡ってきたと思いますし、結果さえ残していれば間違いなく上がることができると思っています。しかし、新型コロナウイルスの影響で(今シーズンが)どうなるかまったく状況が読めません。それはすごく残念です」
「近年のMotoGPは3~4月までのレース成績で翌年の話が決まるので、現在レースが開催されていないのは痛手です。でも一回勝てたのでまた勝てる時は来ると思います。まずはレースが再開されることを祈りつつ、再開したらチャンピオン争いができるように毎戦全力で取り組みたいです」
現状では新型コロナウイルスの影響で、3月から2カ月以上レースの開催延期や中止が続いている。この状況について長島は最後にファンに向けてメッセージを送った。
「自分以上にファンの方はレースの開催がなくて退屈で、できることも限られているため大変だと思います。まずは皆さんの健康が第一なので、健康を優先していただきたいです」
「動画配信やSNSで楽しんでもらえるように頑張るので見ていただければ嬉しいし、レースが再開したときにしっかり楽しめるように今のうちにエネルギーを蓄えていてもらいたいです。再開したらエネルギーを爆発させて応援してもらえれば嬉しいです」
近頃はSNSでライブ配信を行い、ファンのためにも活動している長島。念願の初勝利を飾った彼の今シーズンの活躍、そして中上貴晶とともに目標のMotoGPクラスを走る姿を期待したい。