気軽に、煮詰まらずにやっていこうよ
──堕落モーションFOLK2の活動するきっかけみたいのはあったのですか?
安部コウセイ(以下:安部):フェスの時に話さなかったっけ? 10年前ぐらい5月。
伊東真一(以下:伊東):5月?
安部:初めてHINTOとして活動を始めたライブで、コースト(新木場 Studio Coast)のイベントの時。
伊東:あぁ、2010年のVINTAGE ROCKと残響RECORD共同主催の「心響(HIBIKI) sound museum vol.1」。
安部:ライブの空き時間に、真くん(伊東真一)と一緒に話したよ。「弾き語りをやらない?」みたいな話をした記憶がある。
伊東:SOLE CAFÉ(京都)のイベントが決まったからじゃなかったっけ?
安部:いや、心響(HIBIKI) の時に話をして。
伊東:そっかぁ。記憶があるのはSOLE CAFÉの出演が決まったから曲を作りはじめた記憶が。
──2011年1月30日に京都SOLE CAFEで、3月28日に440(東京)でワンマンを行なってますね。
安部:東京は震災の後ですね。めちゃくちゃ覚えてる。「電気がなくても(アコースティックで)やろうよ」と話した記憶がある。
──ちなみに、2010年のフェスで話した時は、ユニットの構想はありましたか?
安部:ぼんやりとはありましたね。
──SOLE CAFEのライブが決まって動き始めた感じですか?
伊東:そうですね。ライブに合わせて曲を作ろうかって話して、その時にオリジナルを作ったのですが2曲〜3曲ぐらいしかできてなくて、カバー曲とスパルタ(スパルタローカルズ)の曲で演奏しました。
──スパルタローカルズの曲も演奏していたのですね。その頃からユニット名を「堕落モーションFOLK2」と名乗っていたのですか?
安部:名乗ってましたね。
──ユニット名の「堕落モーションFOLK2」にはどのような意味が込められていますか?
安部:とにかく煮詰まりたくなくて。自分たちは真面目に考えがちで、集中して煮詰まることが多いんですよ。堕落は「気軽に、煮詰まらずにやっていこうよ」というテーマがあり、それを総称する言葉が「堕落」だったんですよね。当初から今もですが「とにかく堕落してやろう!」と(笑)。
──それで頭に「堕落」と付けたのですね。
安部:「堕落」の後の「モーションFOLK2」って並びは語感かなぁ(笑)。
一同:(笑)
安部:「モーション」は堕落していく様で。「FOLK2」はフォークユニットなんだけど、ラップグループみたいな雰囲気が出れば面白いなって思って(笑)。
──SHING02みたいな響きってことですね?
安部:そういう感じです。それで、全部を合わせると漢字もカタカナも英語も数字も入っているって。
──本当だ! 堕落というテーマに文字が連なっていった感じですね。面白い。
安部:口が気持ち良いというのが重要で、名前を言った時に気持ち良いっていうのが、言葉を決める時のプライオリティーが高かったんですよ。
──煮つまらないのをコンセプトに「堕落」。
安部:でも。煮詰まりますけど。
──煮詰まりますか?
安部:でも、はたと我に帰れるユニットで良いですよ。堕落が一番曲がいっぱいできるんですよ。めちゃくちゃ早い。
──どんな感じで曲を作ってるんですか?
安部:真くんがギターをガーンとギター弾いて、ネタを出してくれるんですけど、それに対してその場で曲を考えてバッと作るんですよ。それを1回家に持ち帰って曲の構造を考えて、真くんに「これどう?」って聞いて決まりっていう。
──当初の頃から、曲作りは変わってないのですか?
伊東:最近、よりそのパターンになりつつありますね。堕落を始めた当時はいろんなやり方を試してましたが。
──堕落は気軽にスムーズに曲が作れるのですね。
伊東:とにかく早い。
安部:「これで良いのかな〜?」ということをあんまり考えないようにしてます。構想が出てきたものに「あっ、格好いい!!」で思考を止めるようにしてます。
──「この曲いいね!」の状態で止めるみたいな?
安部:そうですね「いいね!」の継続というか。
──前向きな感じですね。
安部:楽しいです。
堕落の場合はノリだけで決めてますから
──2011年に京都でライブが決まって、その年の3月東京でワンマンを行って、今後の活動を話しましたか?
伊東:その後もオリジナル曲を作ってて、溜まってきたので「レコーディングしようか?」って話になったんですよ。2012年の春ですね。
安部:いつもとは違うスタジオでレコーディングしたよね?遠いスタジオだったような。
伊東:レコーディングしたスタジオが空いていると安くなるプランがあって、レコーディングする1週間前にスケジュール押さえてレコーディングしました。めちゃくちゃ安かったです。
安部:時間も短かったね。全部で5曲を1日か2日ぐらいで録音したよね?
伊東:確かそれぐらいで、レコーディングはそこのスタジオのエンジニアさんで、ミックスはHINTOでいつもやってもらってる方で。
──2011年から2012年にかけて、ワンマンライブ〜CDリリースまでテンポが早いですね。
安部:当日のスタッフが色々(アイデアを)投げてくれてたんですよね。スタジオ探してくれたりとか。自分たちは腰の重い方ではあるのですが、提案されると「いいっすよ!」って感じで
──導いてくれたのですね。
安部:最初の道筋を作ってもらったって感じですね。
──その後は定期的に活動が続きますね。ライブの反応ってありますか?
伊東:弾き語りの反応って基本、無いんですよね。自分たちもHINTOと比べると緩くやってますし、ライブでは喋りながらとか、カバー曲とか色々混ぜてやってて。ただ、盛り上げたりはしないですね。
安部:唯一盛り上がるのはアイドル系の曲を演奏するときとかですね。とにかく凄くふざけるんですよ。立ち上がって歌ったりして。忘年会みたいな雰囲気になりますね(笑)。
──余興みたいな。
安部:その雰囲気も良いんですよね。
──だから、色んなイベントライブにも呼ばれるようになるんですね。
安部:ただ、自分たちが使いやすいユニットじゃないと思うんですよね。独特だと思うんですよ。2人編成で自分達のバンドの曲だけやるわけじゃないくて、よりコンセプト性が立っている感じていて。それでもオファーしてもらえるのは嬉しいです。
──カフェから武道館まで様々な場所で演奏していますね。私も最初に堕落のライブを見たときに堕落のオリジナル曲でいくのだ! って、いうのが新鮮に感じましたし面白いなって思いました。
安部:個人的に思ってたのは、真くんと一緒にやるんだったらバンドのボーカリストがやっているのとは違うことをやりたいと、ふんわり思ってました。衣装とかも2人で揃えて、「黒」っていうテーマがあったり。弾き語りでフォーマルまでは行かないまでも、ちゃんと黒シャツを着て演奏するってのは自分で知る限りでは居なかったので、そういうの「いいんじゃないかな?」って思ってやったり。真面目さが出ちゃってますね。
一同:(笑)
──堕落してない部分ですね。
安部:コンセプトとか真面目に考えちゃうみたいな(笑)。
伊東:最初の頃にHINTOの曲をやらないってのもありました。活動当初はスパルタローカルズが復活してなかったので演奏したり。
安部:カバーだけのライブも行ったことありますね。
──自由に色んなことを試せている感じがしますね。
安部:そこが良いところなんですよね。やろうと思ってすぐ動ける。曲作りも真くんに「明日、暇?」って聞いて家まで行って曲を作ったり、「明日、録音しない?」みたいなことができて、その辺りのスピードが早くできるのが自分的には物凄く楽ですね。2人のスケジュールが合えばいつでもできる場所があるのはとても良いです。
──バンドだと、コンセプトなどを考えたり、決まりが増えていくと思いますが、素に個々で居れるユニットかもですね。
安部:バンド始めた頃の感覚に近いかもですね。真くんの家に遊びに行って、曲を作ろうとも言わずギター弾いているに対して「そのフレーズいいね!」って感じで。バンドだとノリで決めて良くない部分もあったりしますから。
──気軽にできる場所ですね。
安部:堕落の場合はノリだけで決めてますから(笑)。
一同:(爆笑)
安部:色んなコンセプトから解放される場所があるのは、バンドとのバランスがとりやすいです。
お互い相性が良い
──今回、LOFT HEAVENにて行われるアナログフィッシュの下岡晃さんとのイベント「堕落晃」を始めるキッカケはどんな感じでしたか?
安部:(下岡)晃から連絡があって「春ぐらいにやらない?」って連絡きて「いいよっ!」って感じで(笑)。
──フットワーク軽い! そう言えば昔、下岡さんと安部さんがドライブに行ったりしてたって話がありますが、お互い相性が良いんですね。
安部:10年前ぐらいだと思うんですけど、お互いバンドで悩んでて色々話していたら「海に行こう」ってドライブしましたね。結局、海までは行かなかったんですけど。お互い小難しい話が好きなので。もちろんフザけた話もしますけど。
──相性が良いと強く感じます。
安部:佐々木健太郎もそうですが、アナログフィッシュは言わずもがな長く一緒にやってますし。戦友というとチープですけど、同志みたいな気持ちはあります。あと、楽です。
──楽?
安部:楽屋で頑張って話さなくても居れるっていうのは重要です。
──間を持たせなくて良い感じですか?
安部:間があっても大丈夫って関係が楽です。
──4月のライブでは一緒にコラボすることありますか?
安部:堕落晃で曲を作ろうって話は出てます。それを音源化してライブ会場で販売しようとも話してます。
伊東:前回もいっしょに曲をやったりしてましたので、楽しみにしてください。