鷹のMLB通算54勝ムーアはなぜ日本へ? 米メディアが特集、妻は「悩む必要なかった」

ソフトバンクのマット・ムーア【写真:藤浦一都】

空軍勤務だった父が嘉手納基地に配属され、1996年から2000年まで沖縄に住んでいたムーア

 4年連続で日本一を目指すソフトバンクに今季から加わった新助っ人マット・ムーア投手。メジャー時代に3度の2桁勝利を記録したメジャー通算54勝左腕が日本で新たな挑戦の一歩を踏み出した。

 メジャーでも実績を残したムーアの日本でのチャレンジを米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」も注目。「マット・ムーアの新しい(古い)アドベンチャー」と題して特集記事を掲載し、日本行きを決断した背景や日本での生活についてレポートしている。

 米空軍のメカニックだった父が嘉手納基地に配属となり、1996年から2000年まで沖縄に住んでいたムーア。記事によると、ムーアが来日を決める数年前から代理人のポール・コッブ氏のもとには、ソフトバンクのスカウトからオーナーである孫正義氏がメジャーのスター選手の獲得を希望しているとの話がもたらされていたという。

 実際にはメジャーのスーパースターたちがNPBに挑戦する意味は薄く、記事でも「ムーアのような怪我明けの元オールスター選手がより現実的なターゲットであった」と言及されている。ムーアは2018年にレンジャーズでチームメートだった元日本ハムのクリス・マーティン投手や元ヤクルトのトニー・バーネット投手から日本の野球について情報収集していたという。

 タイガースに所属した2019年は膝の手術でシーズンをほぼ棒に振ることになったムーア。そんな中で舞い込んだソフトバンクからのオファー。妻のアナさんは、いつかムーアが日本でプレーするかもしれないと予想しており「私たちは悩む必要がありませんでした。私はいつでも準備できていました」と、ソフトバンクへの入団を決めた時のことを振り返っている。

 代理人のコッブ氏に記事の中で「とてもとても心が広く、批判的ではない」と人間性を表現されているムーア。今季の活躍次第では再びMLB球団からのオファーが舞い込むかもしれないが、「それほど先のことはあまり考えないようにしている。今はマウンドで良い状態だと感じられるのが良いこと。もう怪我をしていないことはクールだよ。今は良い状態だと感じている」と語っているという。

 オープン戦では3試合に投げて無失点と、メジャー54勝の実力に違わぬ投球を披露していたムーア。首脳陣やチームメートたちからの期待も高まり続けており、今季、ソフトバンクのV奪還に向けて鍵を握る1人だとも見られている。(Full-Count編集部)

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