【ニュース】クラウドファンディングで医療者など支援を 基金立ち上がる

 クラウドファンディング日本最大手の「Readyfor」で、日本を覆いつつある新型コロナウイルスの感染拡大に対応する動きを支援する基金が立ち上がり、すでに多くの賛同を得ている。基金は7月中旬まで断続的に継続し、活動資金が必要な団体などに寄贈する。寄贈先を決める選考には、現在感染症対策に関わっている著名な医師などが関わる。

 「みなさまからのお志を確実にお届けします」

 今回立ち上がったのは「新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金」。クラウドファンディング最大手の「Readyfor」が、公益財団法人「東京コミュニティー財団」と、有志の医療関係者・研究者の趣旨に賛同したもので、今回の感染拡大防止に取り組む、個人・団体・事業者・医療機関・自治体などに対し、活動費用を助成する。具体的には以下の活動が対象となる。

 

  • 介護施設、障がい者施設、保育所、学校、放課後学童保育等へのマスク等必要物資の支援費用
  • 医療機関へのマスクや手袋、ガウンなどの医療用防護具、水や毛布などの救援物資、人工呼吸器やベッドなどの医療器具の支援費用
  • 医療用防護具、医療器具などを生産するための事業経費
  • 保健所、医療機関、介護施設、障がい者施設、保育所、学校、放課後学童保育等の新型コロナウイルス感染症対応に関わる人件費
  • 新型コロナウイルス拡大感染症の影響を受け、社会的孤立が懸念される子ども、青少年、保護者、高齢者、低所得者などを支援する個人・団体等の活動費用
  • 新型コロナウイルス感染症の予防、診断、治療のための研究・開発費用
  • その他、各個人・団体・事業者・医療機関・自治体などが新型コロナウイルス感染症対応を実施する上で発生する費用

 

 クラウドファンディングサイト上で、一般の支援を募りながら、助成を希望する団体も同時に募集。選考を行い、7月中旬まで4回にわたり基金から迅速に助成金を振り込む。助成先の決定および助成先の活動報告は随時行い、透明性を確保するという。また公益財団法人への寄付となるので、支援者は税制優遇が受けられる。

 選考に関わり、発起人として名を連ねる医療関係者には、実際に新型コロナ対策に政策支援や臨床の立場で取り組む著名な人物が並んでいる。発起人の1人である宮田裕章氏(慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学教室教授)は、自身のSNSアカウントで「医療職が安心して治療に取り組める防護服や資材、介護職が安全に高齢者ケアにあたるためのマスクや資材、こども、青少年、ひとり親世帯、外国人と言った、災害時に取り残されがちな方たちの今日の生活を支える支援、そして、その先につながる心のケア。これらの取り組みに、みなさまからのお志を確実にお届けします」と述べている。

 また、当メディアのコラムニストでもある佐々木淳氏(悠翔会理事長・診療部長)も発起人に名を連ねており、「高齢者施設においては、一度持ち込まれてしまうと集団感染を防ぐことは困難です。日常のケアにおける感染防御策の継続、感染が発生した場合の自宅や施設内における隔離ケア、そして重症化しても侵襲の高い治療を望まない患者に対し適切な緩和ケアが求められていくと思います。そのためにも必要な資源の確保と、現場の専門職の疲弊を防ぐことが重要です。」と支援の必要性を訴えている。

 4月5日現在、支援金はすでに1800万超に上っており、さらに大きな支援の輪が広がることが予想される。

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