本当に現代の話なのか!? ひきこもりだった女性が疾走 27年間探し続けていた兄弟姉妹たちがテレビの中にその姿を見つけた!

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ひきこもりだった女性が突如失踪。その女性の兄弟らが行方を探し続けて27年が経ち、諦めかけていたところ、なんとテレビに変わり果てた姿で映ったことから保護されるというまさに事実は小説よりも奇なりな出来事がありました。

舞台はタイの首都バンコク。女性と子供の保護活動をしているパウィーナー児童・女性財団に3月13日、男女6人のグループから、ある女性を取り戻すのに手を貸してほしいとの要請があったのです。

6人は実は7人の兄弟姉妹で、5番目の女性ドクマイさん(仮名)はごく普通に暮らしていたものの、27歳の時に鬱病になって引きこもり誰とも話さなくなってしまいました。兄弟らがドクマイさんを精神科医に連れて行ったことで他人と会話をするまでには回復しました。

ところが29歳の時、突如として失踪してしまったのです。見知らぬ男性に連れられてバスに乗ったのを見かけた人がいました。騙されて連れ去られた可能性があることから、警察に通報。兄弟らもドクマイさんの行方を探し続けました。

失踪から27年経って諦めかけていた今年3月8日、兄弟7番目の女性がテレビ番組を観ていました。貧しい夫婦の生活を紹介する内容で、夫(54)は流しの占い師をして施しの金銭で暮らしているとのことでした。

そして「愛する妻」と番組で紹介された女性(57)には精神疾患があり、身体麻痺で車椅子で夫と行動を共にしていました。夫が30年間連れ添っているというその女性を見て、兄弟7番目の女性はすぐさまドクマイさんだと確信したのです。

他の7人の兄弟と相談したところ、番組を放送したテレビ局に連絡をしてみることになりました。すると哀れに思った多くの視聴者が寄付をしたいと夫婦の連絡先を尋ねる連絡をしてきているとのことで、あっさりと銀行口座番号と電話番号を教えてくれたのです。

6人はいくばくかの寄付金を口座に送金。しかし夫とされる男性が憐れみを誘って金銭を恵んでもらう道具としてドクマイさんを利用しているのではないかとの疑念があったことから、男性に占ってほしいとの電話をして会う約束を取り付けます。

指定場所は、バンコク市内ディンデーン地区にあるトタン屋根に窓なしのバラック小屋の借家でした。昔この地区には大規模なスラムが存在し、現在でも低所得層向けの安い公営アパートが立ち並んでいます。

占いの間、ドクマイさんは部屋の奥にいました。男性が部屋を出た隙に兄弟らは無造作に重ねられた物の中に銀行預金通帳を見つけ開いてみると、口座名義人名はドクマイさんの本名だったのです。テレビ出演後に9万バーツ(約30万円)の寄付があり、2万バーツ(約6万円)が引き出されていることも判明しました。

兄弟6人は話し合いの結果、ドクマイさんを困窮状態のまま放っておけないことから引き取って自分達で面倒を見る決心をします。そこでパウィーナー児童・女性財団に協力を求めたのでした。

そして財団職員と警察官に付き添われた兄弟6人が再び占い師男性の小屋を訪問。協議の末男性が快諾したことから、ドクマイさんは晴れて兄弟らの元に帰ることができたのでした。

1週間が経った頃、財団に兄弟らから連絡が入りました。ドクマイさんを病院に連れて行き治療とリハビリを受けたことで症状は良くなってきているとの報告でした。添えられた写真からは兄弟7人の温かい様子が伝わってきたそうです。(取材・文◎赤熊賢)

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