スト明けで144試合制の1995年 どんなシーズンだった?

メジャーリーグ公式サイトでは、新型コロナウイルスの感染拡大によってレギュラーシーズンの開幕が延期されている期間を利用して、過去を振り返る企画を次々に展開している。日本時間4月5日にはウィル・レイッチが、ストライキ明けで144試合制の短縮シーズンとして開催された1995年を特集する記事を公開。近鉄バファローズを退団して海を渡った野茂英雄(ドジャース)のデビューイヤーとなったこの年は、どんなシーズンだったのだろうか。

労使交渉のもつれによって1994年のシーズンが8月に中止され、代替選手による強行開催の可能性も取り沙汰された1995年のシーズンだが、144試合に短縮する形で4月末に無事開幕を迎えた。しかし、ストライキの影響によるファン離れは深刻で、平均観客動員数は前年から1試合あたり6000人減となる25021人まで減少。しかし、野茂の鮮烈なデビュー、カル・リプケンJr.(オリオールズ)の連続試合出場メジャー記録更新、「打者天国」クアーズ・フィールドの開場など、明るいニュースも少なくなかった。ワイルドカードのチームがポストシーズンに初出場したのもこの年である。

前年、地区首位を快走しながらもストライキによりポストシーズン進出を逃したエクスポズ(現ナショナルズ)は、財政難によりラリー・ウォーカー、マーキス・グリッソム、ジョン・ウェッテランド、ケン・ヒルといった主力選手を次々に放出。成績は前年の74勝40敗から66勝78敗へと悪化し、ワシントンD.C.へ移転してナショナルズと改名したあとの2012年までポストシーズンに出場できなかった。

一方、エクスポズからウォーカーを獲得したロッキーズは、ダンテ・ビシェット、ビニー・カスティーヤらを中心とした打線が「打者天国」で猛威を振るい、球団創設3年目にしてワイルドカードでポストシーズンに進出。地区シリーズでブレーブスに敗れたものの、躍進の1年となった。

エドガー・マルティネス、ティノ・マルティネス、ジェイ・ビューナー、ランディ・ジョンソンらが活躍したマリナーズは、エンゼルスとのタイブレーカーを制して地区優勝。地区シリーズ第5戦ではエドガー・マルティネスが「ザ・ダブル」として知られるサヨナラタイムリー二塁打を放ってヤンキースを破り、リーグ優勝決定シリーズに進出したが、現在に至るまでワールドシリーズ未経験となっている。

インディアンスは主砲のアルバート・ベルが史上唯一となる50二塁打&50本塁打を達成する大活躍を見せ、ジム・トーメイ、エディ・マレー、マニー・ラミレス、カルロス・バイエガ、オマー・ビスケル、ケニー・ロフトンなど、打線にはスター選手がズラリ。守護神ホゼ・メサも46セーブ、防御率1.13をマークし、最速で地区優勝を決めてワールドシリーズまで進出したが、世界一にはなれなかった。

そのインディアンスを破って世界一に輝いたのはブレーブス。グレッグ・マダックスを中心とした投手陣とライアン・クレスコらを擁する打線のバランスが良く、ナショナル・リーグ東部地区で2位に21ゲーム差をつける独走だった。ポストシーズンも順調に勝ち進み、ミルウォーキー時代の1957年以来となる世界一。しかし、1991年からの14季連続ポストシーズン進出という黄金期のなかで、世界一になったのはこの年だけだった。

このほか、ヤンキースの大スター、ミッキー・マントルの死去、バスケットボール界の大スター、マイケル・ジョーダンがメジャーリーグ挑戦を断念してシカゴ・ブルズに復帰するなど、話題には事欠かなかった。1995年シーズンの結果と、レイッチが独自に選出した「オールMLBチーム」は以下の通りである。

◆1995年シーズンの結果
ALDS:マリナーズ3勝vsヤンキース2勝/インディアンス3勝vsレッドソックス0勝
NLDS:ブレーブス3勝vsロッキーズ1勝/レッズ3勝vsドジャース0勝
ALCS:インディアンス4勝(リーグ優勝)vsマリナーズ2勝
NLCS:ブレーブス4勝(リーグ優勝)vsレッズ0勝
WS:ブレーブス4勝(世界一)vsインディアンス2勝
MVP:モー・ボーン(レッドソックス)/バリー・ラーキン(レッズ)
サイ・ヤング賞:ランディ・ジョンソン(マリナーズ)/グレッグ・マダックス(ブレーブス)
新人王:マーティ・コルドバ(ツインズ)/野茂英雄(ドジャース)

◆オールMLBチーム
捕手:マイク・ピアッツァ(ドジャース)
一塁手:フランク・トーマス(ホワイトソックス)
二塁手:チャック・ノブロック(ツインズ)
三塁手:ジム・トーメイ(インディアンス)
遊撃手:ジョン・バレンティン(レッドソックス)
外野手:バリー・ボンズ(ジャイアンツ)
外野手:アルバート・ベル(インディアンス)
外野手:ティム・サーモン(エンゼルス)
指名打者:エドガー・マルティネス(マリナーズ)
先発投手:グレッグ・マダックス(ブレーブス)
先発投手:ランディ・ジョンソン(マリナーズ)
先発投手:野茂英雄(ドジャース)
先発投手:マイク・ムシーナ(オリオールズ)
救援投手:ホゼ・メサ(インディアンス)
救援投手:トム・ヘンキー(カージナルス)

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