住宅購入後、赤字に転落…「理想の家計」に縛られた40歳主婦

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読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、住宅購入を機に貯蓄があまりできなくなったという40代主婦。今の家計を見直して、理想的な支出の割合に近づけたいといいますが……。FPの横山光昭氏がお答えします。

5年前にマイホームを購入しました。十分計画してから購入に踏み切ったつもりでしたが、住宅ローンの返済が始まったことを機に、お金があまり貯まらなくなってしまいました。

今、子どもは保育園児ですが、あと2年で小学校に入るので、教育費も徐々に準備しておかなくはいけないと思っています。今のままだと、住宅ローンの返済をしながらお金を貯めていけるのか不安です。毎年恒例としていた海外旅行に行っても大丈夫かということも気になっています。

やりたいことをやってお金を貯めていくには、我が家の支出を「理想の割合」に合わせていくことが大切なのではないかと考えています。今削るべきは生命保険料なのかなと思っているのですが、どうでしょうか。我が家の家計は、よくある理想的な支出割合と比べてどこが悪いのかを教えて欲しいです。

<相談者プロフィール>

・女性、40歳、既婚(夫:43歳、会社員)

・子ども1人:長男(4歳、保育園)

・職業:パート

・毎月の手取り金額:44.3万円

(夫:28.9万円、妻:15.4万円)

・年間の手取りボーナス額:約120万円

(夫:約80万円、妻:約40万円)

・貯金:430万円

【支出の内訳(43.5万円)】

・住居費:8.5万円(住宅ローン)

・食費:9.1万円

・水道光熱費:2.3万円

・通信費:2.8万円

・日用品代:1.2万円

・被服費:3.2万円

・教育費:4.5万円(保育園と習い事)

・生命保険料:2万円

・その他:9.9万円


横山:ご相談ありがとうございます。住宅購入後から、貯金が増えなくなったのですね。理想的な割合に注目されているようですが、それだけでは上手に家計を運営していくことは難しいでしょう。

相談者さんの家計はどうすると貯金ができるようになるのか、見ていきましょう。

「優先的にお金をかけたい支出」は何?

現状の家計は全体的に支出が膨らんでいる「メタボ家計」。今まで貯金ができていたのに、住宅購入後からできなくなったということは、住宅購入という目標をクリアしたことで、気持ちが緩んでしまったのかもしれません。

住宅購入後に支出が膨らんでしまう人には、「住居にあった暮らし方をしなくてはいけない」というおかしな見栄というか、思い違いをしている様子が見受けられることがあります。相談者さんには思い当たる節はないでしょうか。

知らず知らずのうちに、そういった気の緩みが起こり、今まで我慢していた買い物をコントロールできなくなっているのかもしれません。今一度、支出全体を把握して、今までより膨らんでしまっている支出を見直していくことが望ましいでしょう。

支出をコントロールするには、「どこにお金をかけていきたいか」を家族の中で決めておくことです。お子さんの教育費に多くお金をかけたいのなら、それを優先して他の支出を減らす、食費を大切にしたいのなら、それ以外の支出をコントロールするというように、出したいところは出し、それ以外は減らしていくようなコントロールができるようになると、家計やりくりは随分と楽になるでしょう。

暮らし方が変わったら、環境に合わせて支出の見直しを

一方で、暮らし方が変わることで自然に増えがちな支出もあります。

水道光熱費は住居が広くなると多くかかりがちですし、住む地域が変わったことで通信費がかかったりすることもあります。それらは少しでも以前に近い金額まで抑えたいですね。支出を増やさないように「使うな」ということではなく、多くかかっている現状に合わせて、契約の見直しや使い方そのものを見直してみるなどしてみましょう。契約の仕方や使い方を工夫することで、以前と同じ程度までは無理かもしれませんが、今よりも多少支出額を下げられる場合があります。

また、相談者さんは「生命保険料を削るべきか」とおっしゃっていましたが、生命保険は「金額だけで見て、削る」ということをしてはいけません。今の暮らし方、家族状況により必要な保障が異なります。今の生命保険の保障内容を確認し、保障に過不足がないかを見直すところから始めましょう。

また、ボーナスの使い方も見直しましょう。もし、住宅ローンでボーナス払いを利用しているなら、ボーナスの使い道も以前と変わってくるでしょう。それをきちんと計画しておかないと、いつまでたってもお金は残りません。毎月赤字補填をせず、帰省費用や固定資産税などをきちんと支払えるように、毎月のやりくりをしっかりするとともに、ボーナスも残していけるようにしましょう。

「理想の割合」は万能ではない?

相談者さんは「理想の割合」が好ましい家計のあり方であると思っているように感じます。ですが、理想の割合はあくまで一般的に好ましいというだけであって、相談者さんのご家庭に合うものではありません。

はじめにお伝えしたように、自分たちがどの支出を優先して支払っていきたいかにより、各費目が多くなったり、少なくなったりします。自分たちが我慢し過ぎず、自分たちなりに満足感が持てる暮らし方ができるように支出をコントロールする。それが理想の家計です。

割合は実に不確実です。ある費目が気になった時に、「一般的にはどのくらいお金をかけているのだろう」という客観的状況を知るために参考にする程度ならよいと思います。ですが、「そうしなくてはいけない」と思い込んでしまうようなら、見ない方がよいというものです。

理想的な支出は人それぞれ。支出を加減したり、優先順位をつけたりしながら、自分の、ご家庭の理想的な支出を見つけて欲しいと思います。