就活で感染、佐世保の学生 都市圏での説明会に不安 新型コロナ影響 企業も手探り

 新型コロナウイルスの感染拡大が、大学生の就職活動を直撃している。長崎国際大(佐世保市)の20代男子学生が就職活動で滞在していた大阪市で感染したことが2日判明。県内の学生や大学、企業関係者の間に動揺が走った。今の時期、学生は都市圏への行き来も多い。「どうやって活動すればいいのか」。学生も企業も、手探りの就活を強いられている。

 「学友」の感染が発覚した翌日の3日。長崎国際大4年の男子学生(21)は、県外企業の面接に臨んでいた。「感染した学生と面識はないが『まさか』と驚いた。でも就職活動をやめるわけにはいかない。一生を左右するので…」。男子学生は動揺交じりに語る。
 男子学生にとって就職活動はまだ「5合目」。感染拡大が続く福岡県にも10回以上足を運んだ。企業説明会などが軒並み中止されているから、情報収集はネット頼み。「でもネットで相手の雰囲気はつかめない。感染予防をしながら企業を回るしかない」
 大学生らの就職活動は3月から本格化。しかし、新型コロナの感染拡大が状況を一変させている。長崎大は、感染回避のため、ウェブ面接の実施や面接日程の変更などを相手企業に求めるよう学生に指導。場合によっては大学側からも要請するが応じてもらえないケースも。担当者は「学生の不利益になる可能性もあるので強くは言えない」と悩ましげに話す。
 同大経済学部4年の西山文菜さん(22)は今月福岡市で予定されていた説明会への参加を5月に先延ばしした。できれば行きたくないが、そうも言ってはいられない。「就活時期をずらせないのだろうか」。西山さんはため息をつく。
 企業側の採用選考にも影響を及ぼしている。
 冠婚葬祭大手メモリード(総合本部・西彼長与町)は40人前後の新卒採用を計画。しかしウェブでの簡易な会社説明動画の発信にとどまり、本格的な会社説明会を開けずにいる。ウェブ面接も検討したが、人事担当者は「対面しなければ人となりが分からない。施設を見てスタッフに会ってもらわないと弊社の魅力も伝わらない」と断念。夏には2022年新卒者のインターンシップも控え、「(新型コロナ流行の)収束を待つしかないが、先が読めない」と頭を抱える。
 10月に合併を控える十八銀行(長崎市)と親和銀行(佐世保市)は合同で採用活動を展開中。ただ感染予防のため会社説明会を取りやめ、ウェブを使ったセミナーや、人数と時間を絞った座談会に切り替えた。面接による選考も始めたが、県内在住の就活生の感染が確認される中、十八銀の人事担当者は「感染リスクが大きくなりつつあり、状況によっては面接を中止せざるを得ない」と話した。

 


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