SROステファン・ラテル代表、GTワールドチャレンジの再開は「もっとも早くて6月下旬」

 SROモータースポーツ・グループの創設者兼CEOのステファン・ラテルによると、同グループが運営するGTワールドチャレンジ・パワード・バイ・AWS(旧ブランパンGTワールドチャレンジ)は、早ければ6月下旬にも再開する予定だという。

 ヨーロッパ、アジア、アメリカの3地域で各選手権が行われているGTワールドチャレンジは、いずれのシリーズも新型コロナウイルス(COVID-19)の“パンデミック”の影響を受けてイベントの延期を余儀なくされている。

 このうち、ヨーロッパとアジアシリーズでは、新型感染症の世界的な大流行の初期段階で開幕戦のカレンダーがすでに変更されていた。しかし、SROは今後も急速に変化する状況に対応するため、追加のスケジュール調整を実施する予定だ。

 5月30日にポール・リカールで予定されているGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・エンデュランスカップ、5月23~24日の富士スピードウェイでのアジアラウンド、5月16~17日にカナディアン・モータースポーツパークで開催予定のアメリカンシリーズはその対象となることが見込まれる。
 
 また、6月最初の週末に予定されているアメリカンシリーズのバージニアラウンドも、この影響を受ける可能性がある。

「世界的に見て、我々が(シリーズ再開を)期待できるもっとも早い時期は6月の終わりごろ又は、7月の初めだろう」とラテルはSportscar365に語った。

「それが第一の選択肢であり、それ以前に再開することは合理的ではない」

「イギリスでは、モータースポーツUKが6月末まですべてのレースを禁止すると発表しているため、早くても7月にならないと再開できない」

「シーズン開幕の目標は6月下旬で、アジアでは6月20~21日の鈴鹿サーキット、ヨーロッパーでは6月27~28日のザントフールトが我々にとって最初の機会となる」

「すでに2020年シーズンが開幕しているアメリカでは、モスポートパークでの開催は可能性が低いと考えており、6月上旬のバージニア・インターナショナル・レースウェイで再開できるように取り組んでいる」

「これらの計画が最終的にどうなるかは分からない。私たちは状況が進展するのを待っているんだ」

 このように語ったラテルは、パンデミックが今後どのように展開するのかを見越して、さまざまなスケジュールオプションを作成していると説明した。

「今のところ(GTワールドチャレンジ・ヨーロッパについては)6月末から7月初めに始まる“プランB”を考えている」

「そしてもうひとつ、7月のスパ24時間で始まる“プランC”がある。さらに、9月にスタートする“プランD”も検討中だ。それまでの間に再開されることを願うよ」

「最悪の場合が発生した場合、私たちは何もすることなくシーズンを過ごすことになるだろう」

「しかし、その前に世界が何らかの形で再始動することを信じたい。そのため、この最悪の事態は検討したとは思わないよ」

■週末3レース制も可能

 ラテルの説明によると、SROは年間10レースという完全なプログラムを達成するため、ひとつの週末に3つのGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・スプリントカップのレースを開催する予定だという。

 この措置はSROがザントフールトとミサノでのレースを延期し、スパ24時間でヨーロピアンシリーズを開幕させる“プランC”が採用された場合にとられるものだ。

 3月12日、SROは緊急時対応計画を発表し、計10戦(スプリントカップ5戦+エンデュランスカップ5戦)からなる2020年シーズンのGTワールドチャレンジ・ヨーロッパの全ラウンドを今年中に完了させることを約束した。

「完全なカレンダーを提供する最後のオプションは、7月末のスパ24時間からシーズンを始めることだ」とラテル。

「その時点では、私たちは当初の計画と同等のラウンド数を提供できる立場にある。ふたつのスプリントカップイベントで、各3レースを行うことで(エンデュランスカップの3レースを含めて)全部で9つのレースが開催可能だ」

「しかし、それは7月のスパでシーズンが始まることが条件になる。仮に7月末までに開幕できない場合には別の緊急時対応計画を用意している」

「今のところ、5月の終わりまではすべてが眠っている状態だ。その5月末に状況を再評価し(必要に応じて)別の計画に変更する」

 ラテルは、SROがこの問題が解決するまでの間、約3分の2の従業員を休暇に入らせていると付け加えた。

ポール・リカールでの公式テストに参加したAKKA ASPのメルセデスAMG GT3

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