【新型コロナ】箱根の宿泊施設深刻 4、5月予約、前年の1~3割 さがみ信金調査

新型コロナウイルスの影響で人影もまばらな箱根湯本駅前=2日午後、箱根町

 新型コロナウイルス感染拡大による観光客の落ち込みが続く神奈川県の箱根地区。地元金融機関のさがみ信用金庫(小田原市)の聞き取り調査でも、深刻な経営状況が浮き彫りになっている。一方で収束の見通しが立たず、融資を受けることに慎重な姿勢が見られる。

 同信金は3月末までに、支店を置く県西地域3市9町の法人取引先約4千社のうち3030社に聞き取り調査した。その結果、融資や毎月の返済停止を申し込んでいるのが147社(5%)、今は融資条件を検討中なのが421社(14%)だった。担当者は「先行きが不透明なため、借金しても返済できるか不安視する声も聞かれる」と融資を申し込むのに慎重な理由を指摘する。

 一方、新型コロナウイルスの影響を受けているが、資金繰りは問題ないのが985社(32%)、残りの1477社(49%)は今のところ問題ないという。

 既に融資などを申し込んでいる147社の8割近くは箱根、湯河原町の宿泊施設や飲食店、その納入業者が占める。特に箱根の宿泊施設は深刻。主な20施設の予約状況を調査したところ、小池百合子都知事が不要不急の外出を控えるよう呼び掛けた3月25日以降にキャンセルが殺到し、4、5月の予約は良くて前年の3割、悪いところは1割しかない。時間がたつにつれて厳しくなっている。

 同信金は独自の融資制度をはじめ、新型コロナウイルスに対応した県や箱根町などさまざまな制度融資を扱っている。秋葉勝彦理事長は「多様な融資制度をうまく利用するよう、きめ細かく相談に応じていきたい」と話している。

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