IDC、新型コロナウイルス感染症によって国内ICT市場のデバイスが前年比22%減になると予測

IDC Japan株式会社は、新型コロナウイルス感染症の最新状況を考慮した国内ICT市場予測を発表した。これによると2020年の国内ICT市場(支出額ベース)は前年比4.5%減の28兆2,155億円と予測している。IDCでは、新型コロナウイルス感染症の流行が海外経済、国内経済に与える影響は大きいとみている。製造業でのサプライチェーンへのインパクト、飲食/宿泊/運輸などのサービス業の低迷や、これに伴う産業分野での業績低下が出始めている。さらに2020年7月に予定されていた東京2020オリンピック・パラリンピックの延期による経済的影響が拡大すると見込んでいる。これらの経済的影響は、国内ICT市場にも波及するとIDCではみており、2020年に発生し得るリスクなどを考慮し同市場を予測した。2020年の国内市場の製品セグメントごとの前年比成長率(詳細は参考資料を参照)は、スマートフォン/PC/タブレットなどのDeviceがマイナス22.0%、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどのInfrastructureがマイナス1.2%、Softwareが4.0%、IT Servicesがマイナス1.8%、Telecom Servicesがマイナス0.5%と予測しており、国内ICT市場全体では前年比4.5%減の28兆2,155億円になると予測している。2020年は、2019年後半にWindows 7のサポート終了に伴うPCの入れ替えや消費税増税/軽減税率対応に伴うPCなどの駆け込み需要があり、この反動によって、2020年の国内ICT市場はマイナス成長を予測していたが、2020年初頭から発生している新型コロナウイルス感染症の影響によって、市場の減少幅がさらに拡大すると予測している。なお、上記の予測は現時点での新型コロナウイルス感染症の最新状況を踏まえて、世界と国内において2020年6月末前後で感染が抑制され、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われるという前提で作成している。今後の状況次第では、企業、政府、消費者レベルまで広くDX投資が活性化されるというICT市場にとってOptimisticなシナリオも想定しており、その場合の2020年における前年比成長率はマイナス3.3%程度に収まる可能性があるとみている。また、新型コロナウイルス感染症のワクチンが完成する2021年半ばまで国内外での感染が抑制されないというPessimisticなシナリオでは、前年比成長率はマイナス6.3%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の可能性もある。

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