サッカー選手がプレーと並行して行う、あるいは引退してから就く仕事といえば、指導者やサイドビジネス、コメンテーター、Youtuber…が一般的である。
しかし、それ以外にもこんな仕事をやった選手たちも。今回は『Squawka』から、「意外な仕事をしたサッカー選手たち」をご紹介する。
ティム・ヴィーゼ
職業:WWEレスラー
ドイツ代表として6試合に出場したヴィーゼは、現役時代の終盤からボディビルに没頭して見事な筋肉を手に入れた。
2014年にはアメリカのプロレス団体WWEとトレーニング契約を提供され、2016年にはドイツでのイベントに参加。シェイマスやセザーロとも対戦するという素晴らしいデビューを飾っている。
ただ、その後プロレスラーとしてのキャリアを続けるため、WWEストーリーに絡んでいくためにはアメリカで3年間居住してほしい…と言われたことから、ヴィーゼは格闘家の夢を諦めている。
アルヤン・デ・ゼーウ
職業:法医学捜査官
かつてバーンズリーやウィガン・アスレティック、ポーツマスなどでプレーをした190cmの大型オランダ人センターバック。代表経験こそないものの、プロとして550試合以上に出場した名DFの一人だ。
彼はサッカー選手になる前にも大学で医学の学位を取得しているインテリであり、39歳でスパイクを脱いだあとに法医学捜査官としての仕事をスタートさせた。
ちなみに、得意な技術は新型コロナウイルスで話題のPCR検査であるそう。
パピス・シセ
職業:救急車の運転手
ニューカッスルでデンバ・バとともに活躍したことで知られるセネガル代表の名FW。34歳になった現在はトルコのアランヤスポルでプレーしている。
彼は地元で暮らしていた少年時代にドライバーとして働いていたことを明かしている。「僕が15歳のとき、救急車を運転していたんだ。学校に行くのをやめ、仕事をした。少しだけお金をもらい、両親に渡した」
「とても若い頃だったから、厳しいものだった。最初の仕事は誰かが死ぬのを見ることだからね。いつも泣いていた。だけどそれで強くなった」とも。
グラフィッチ
職業:ゴミ袋のセールスマン
ル・マン時代に松井大輔と、ヴォルフスブルクでは長谷部誠や大久保嘉人とともにプレーしたブラジル人FWグラフィッチは、20歳を超えるまで真剣にサッカーをしたことがなかったという変わり種の選手だ。
それまでは何をしていたかといえば、アマチュアで草サッカーをしながらゴミ袋のセールスマンをしていたのだ。
「珍しいことではなかったよ。人々はまだ戸口ごとにゴミ袋を販売していた。僕はお金を稼ぐ必要があったし、それが仕事だった。その時間を忘れることはないし、多くのポジティブなことを学んだよ」とグラフィッチはいい経験だったと話している。
ナイジェル・デ・ヨング
職業:自動車販売員
サッカー選手には車好きが多いことで知られる。自身でカスタムカーを作ってみたり、多くの車を所有するために巨大なガレージを手に入れたり…。
しかしかつてオランダ代表の「壊し屋」として知られたナイジェル・デ・ヨングは、欧州と中東で自動車を販売することができる資格を取得するという珍しい選択をした。
彼は自身のショールームを持っており、そこでランボルギーニやマセラッティ、フェラーリなど高級ブランドの車を展開している。
グレイグ・ヌーン
職業:屋根葺き職人
現在オーストラリアのメルボルン・シティに所属している32歳のMF。9歳でリヴァプールの下部組織に入ったものの、7年後に退団 。アマチュアでサッカーを続けてノンリーグから這い上がってきた苦労人である。
アマチュア時代はサッカーと並行して屋根葺きの工事を請け負う職人として働き、2008年にはあのスティーヴン・ジェラードの家の建築に取り組んだ。
「ジェラードの家でジムとプレイルームを作ったよ。家の大きな拡張だった。ジェラードの奥さんからコーラとソーセージをもらったよ!
その時、彼のライフスタイルを目にしたんだ。午前9時に練習に行き、午後1時半に戻ってくる。そして『僕もいつかああなるぞ』と思ったんだ。達成するために一生懸命頑張ったさ」とヌーンは後に話している。
エリック・カントナ、ヴィニー・ジョーンズ
職業:俳優
マンチェスター・ユナイテッドで大きな活躍を見せた「帝王」カントナ(写真上)は、突如サッカー界を去ったと思えば俳優への転身を発表。映画界への進出を決断したが、それほどフィルムの中では成功していない。
一方チェルシーやウィンブルドンなどでプレーしたウェールズ代表MFヴィニー・ジョーンズ(写真下)は、1998年に俳優へと転身。ジョン・トラボルタやアーノルド・シュワルツネッガーとも共演し、『X-Men』にも出演。日本映画の「SURVIVE STYLE5+」でもロンドンから来た殺し屋を演じている。
チャーリー・オースティン
職業:煉瓦工
バーンリーやQPR、サウサンプトンでプレーし、現在はWBAに所属している30歳の大型ストライカー。彼もノンリーグでの時間を経てのし上がってきた叩き上げの苦労人だ。
「17歳のとき、僕はオーバートンと呼ばれている場所で働いていたんだ。午後2時までびしょ濡れになりながらね。泥にまみれていた。サッカーにわずかでも飽きてきたら、その日のことを思い出すんだ。そして、今世界で最高の人生を送っていることを改めて感じるんだ」
オースティンは『Guardian』にこのように話し、辛かった日々を糧にしていることを明かしている。
マット・ミッチェル・キング
業:リオ・ファーディナンドの代役
選手として名前を知っている者は多くないだろうが、彼の姿はかならず見たことがあるはずだ。現在36歳の彼は、アマチュアでプレーしていた際に「リオ・ファーディナンドの替え玉俳優」として活躍していたからだ。Nikeのコマーシャルでリオを演じているのは彼だった。
「12時間×6日間の撮影がある場合、選手がそこに長くいることはできない。したがって、遠くからの撮影ではいわゆる『替え玉』の俳優を使うんだ。リオはいつも僕のことを認めてくれたよ。現場ではプロであらなければならない。サインも自撮り写真も求めない。それは厳格な禁止事項だからね」
リッキー・ランバート
職業:野菜のパック詰め作業員
2014-15シーズンにリヴァプールでプレーしたことで知られる本格派ストライカーのランバート。プロデビューしたブラックプールをわずか1年あまりで解雇されたあと、4ヶ月間は工場で働いていた。
そこではビートルート(カブに似ている野菜)をボトル詰めする作業をしており、マックルズフィールド・タウンと契約するまではそれで生計を立てていた。
2017年に引退したあとの活動についてはあまり情報がないものの、昨年のチャリティーマッチでは驚くようなロングシュートを決めたりしている。