【新型コロナウイルス:続報4月7日更新】ロックダウンのイギリス暮らしで見つけたポジティブな6つのこと

3月23日(月)よりイギリスはロックダウン(都市封鎖)を行っています。不安や不自由の多い日々の生活の中から、在英ライターが感じる少しでも今後のライフスタイルのヒントになるようなポジティブなことをご紹介します。

ロックダウンの日常で見つけたポジティブなこと

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新型コロナウイルスの世界的な脅威はいまだ勢いが衰えず、パンデミックの中心は現在ヨーロッパ、そしてアメリカへと移っています。筆者の住むイギリスでは4万2000人の新型コロナの感染者が確認され、4月3日(金)の1日だけで亡くなった人が708人(累計4313人)と大変深刻な状態です。

イギリスでは、ロックダウンが3月23日(月)から開始され2週間が経っています。今回は、不安や不自由の多いロックダウンの暮らしの中でも、むしろロックダウンだからこそ感じられるポジティブなことを6つご紹介します。

テレワークの普及

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不要な外出を控えるという意味で、ロックダウンになる前の3月上旬からまず始まったのは、できる限りの在宅勤務です。今までは朝から夕方までオフィスで仕事をするのが当たり前だった人たちが、実は仕事や会議のほとんどが家でも可能ということに気づくきっかけになっています。在宅勤務のメリットは通勤時間が節約できること、フレキシブルな時間管理が可能なことなどがあります。また、通勤する人が減ったことで渋滞や電車の混雑も緩和されています。

ジョギングやヨガを生活の一部にする人が増加

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自由に外出はできませんが、1日に一度程度なら運動のために近所を散歩したりジョギングしたりすることができます。1日家にこもって仕事やネットばかりしていても気が滅入るため、ジョギングやウォーキングを始めている人が大多数。以前なら帰りが遅くなったから、友達と飲みに行くから、とついつい続かなかった運動も、定期的に続けやすいというメリットがあります。同様に、室内でできるヨガやワークアウトのネット配信も大人気です。

コミュニティの結束力アップ

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先行きの見えない不安な毎日から、人々はぎすぎすしてしまいがちと思うかもしれませんが、今のところむしろその正反対です。こんな時こそみんなで乗り越えよう!というポジティブな雰囲気に驚かされる毎日です。道端ですれ違う見ず知らずの人とも必ず笑顔で挨拶しあったり、地域のメーリングリストでは困った人がいないか必ずチェックしあったりと、コミュニティの結束力が上がっています。

また、毎週木曜日の夜8時には家の外に出て、医療関係者や警察消防関係の人、バスや電車の運転手、スーパーなどで働く人たちへの感謝を込めて拍手喝采をする、というのがイギリス全土で恒例になっています。筆者の住む住宅街でも木曜日の夜8時になると、すべての人が家の窓や玄関先から大きな拍手喝采をしています。たった数分のことですが、とても温かい気持ちになれる素敵な時間だと思います。

家庭料理にひと手間がかけられる

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ほぼ一日中家にいるため、いつもだったらできない「ひと手間」をかけることでおうち料理を楽しむことができるということも挙げられます。例えば、夕食に食べるからあげのお肉を午前中に塩こうじやお醤油につけておくと、味のしみこんだおいしい唐揚げが夕食に食べられる!というようなことです。

イギリスでは、パンやケーキ作りを楽しんでいる人も多いようで、ほぼすべてのものが今まで通りにスーパーなどで手に入るのですが、実は強力粉、薄力粉がいまだに唯一手に入りにくい状態です(4月4日現在)。

家族との時間

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ロックダウン中の日常で以前との一番の違いは家族が全員、一日中家にいるということを挙げる人が多いでしょう。もちろん今も仕事に出勤している人もいますが、それはごく一部。フルタイムで働く筆者にも5歳になる息子がいますが、0歳児から保育園にあずかってもらっていました。そのため、現在のように週7日一日中いっしょに過ごせたことがありません。もちろん大変なことではありますが、今の時間を大切に過ごしていきたいと思っています。また、筆者のみならずイギリスでは多くの人が同じように感じていることでしょう。

ただし、一方で過剰なストレスや閉じられた環境から、家庭内暴力や虐待が増えることも懸念されているので、行政と地域のサポートが一層必要になっていることも事実です。

シンプルライフ、丁寧なくらしを目指すなら今

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毎日家にいると結局、着心地のよい2~3着を着まわすばかりになりがちです。そういった日々の中で本当に必要なもの、いらないものが見えてくるのもまた事実。これを機会に断捨離を実践している人も多くいます。また、もらったけれど使っていないキャンドル、買ったけれど試していないスキンケア用品などを順番に使ったり処分したりするにもいい機会と言えるでしょう。ものを買わない、増やさないシンプルなライフスタイルに憧れている人には、絶好の期間と言えます。

ロックダウンとはホリディではなく、命を救うための期間だということ

ロックダウン中とはいえ、ちょっと外出してみると人通りの少ないのどかな日曜日のような感覚に包まれるイギリスです。しかし、現在も新型コロナのために亡くなっていく人や、親しい人を失って耐え難い時間を過ごしている人、最前線で不眠不休で働く医療関係者、休業に追い込まれて来月の食費や家賃の心配をしている人などが数えきれないほどいます。ロックダウンとはホリディ(休暇)ではなくSave Lives(命を救うこと)ということを忘れずに過ごす必要があります。

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