ファンが選ぶ「史上最高のシーズン」は1968年のボブ・ギブソン

Twitterのアンケート機能を用いて行われていた「史上最高のシーズン」を選ぶ企画が日本時間4月7日に終了し、決勝戦で1968年のボブ・ギブソン(カージナルス)が1923年のベーブ・ルース(ヤンキース)を破って「史上最高のシーズン」に選出された。なお、この企画には日本人選手で唯一、2004年のイチロー(マリナーズ)もノミネートされていたが、準優勝したルースに1回戦で82%対18%の大差で敗れている。

1968年のギブソンは、34試合に先発して28完投・13完封を記録し、304回2/3を投げて22勝9敗、防御率1.12、268奪三振をマーク。当然のように満票でサイ・ヤング賞を受賞したほか、ピート・ローズ(レッズ)、ウィリー・マッコビー(ジャイアンツ)らを抑えてMVPにも選出された。

防御率1.12はライブボール時代(1920年以降)で断トツの数字であり、ギブソンに次ぐのは1985年に防御率1.53を記録したドワイト・グッデン(メッツ)。ギブソンはこのグッデンと2回戦で対戦し、77%対23%で圧勝した。

また、この年のギブソンは、ワールドシリーズ第1戦(対タイガース)で史上最多の17三振を奪って完封勝利。現在に至るまで、ワールドシリーズで1試合15奪三振以上を記録した投手はギブソンだけである。この年のシリーズで記録した35奪三振は、現在も単年のワールドシリーズにおける最多記録となっている。

さらに、6月6日から7月30日(現地時間)にかけて1失点以下で11試合連続完投勝利を記録(メジャー記録)。このうち8試合は完封勝利であり、合計99イニングを投げて失点はわずか3点だけだった(防御率0.27)。6月と7月の12先発は全て完投勝利を記録し、12勝0敗、防御率0.50という圧巻のパフォーマンスを披露した。

シーズン防御率1.12だけでも十分に驚異的だが、敵地での16先発では12勝3敗、防御率0.81をマーク。16先発のうち15先発は完投だった。敵地で10試合以上に先発して防御率0点台でシーズンを終えた投手は、メジャーリーグの長い歴史のなかでギブソンしかいない。

もちろん、各球団のスター選手に対しても支配的なピッチングを見せており、ハンク・アーロンは15打数1安打、ジョニー・ベンチは6打数0安打。両リーグ最多の210安打で打率.335をマークしたローズも8打数0安打に封じた。アーニー・バンクスが13打数3安打、ウィリー・メイズが8打数2安打だったのが目立つ程度である。

ちなみに、1923年のルースは、152試合に出場して打率.393、41本塁打、130打点、17盗塁、OPS1.309をマーク。しかし、この素晴らしいシーズンでも1968年のギブソンには及ばなかった。なお、今回の企画の各ラウンドの結果は以下のようになっている。

1回戦
ベーブ・ルース(1923年) 82%対18% イチロー(2004年)
バリー・ボンズ(2001年) 80%対20% マーク・マグワイア(1998年)
ルー・ゲーリッグ(1927年) 90%対10% ブライス・ハーパー(2015年)
ミッキー・マントル(1956年) 82%対18% リッキー・ヘンダーソン(1990年)
テッド・ウィリアムス(1941年) 78%対22% ジョー・ディマジオ(1941年)
マイク・トラウト(2018年) 62%対38% カール・ヤストレムスキー(1967年)
ロジャース・ホーンスビー(1924年) 59%対41% ウィリー・メイズ(1965年)
スタン・ミュージアル(1948年) 63%対37% アルバート・プーホルス(2009年)
ペドロ・マルティネス(2000年) 84%対16% ジェイク・アリエタ(2015年)
サンディ・コーファックス(1965年) 83%対17% ノーラン・ライアン(1973年)
ランディ・ジョンソン(2001年) 67%対33% ザック・グレインキー(2015年)
ボブ・ギブソン(1968年) 89%対11% ロン・ギドリー(1978年)
ドワイト・グッデン(1985年) 75%対25% ゲリット・コール(2019年)
トム・シーバー(1971年) 53%対47% スティーブ・カールトン(1972年)
クレイトン・カーショウ(2014年) 58%対42% ジェイコブ・デグロム(2018年)
グレッグ・マダックス(1995年) 80%対20% ロジャー・クレメンス(1997年)

2回戦
ルース 86%対14% ミュージアル
ボンズ 58%対42% ホーンスビー
ゲーリッグ 81%対19% トラウト
ウィリアムス 74%対26% マントル
マルティネス 67%対33% マダックス
コーファックス 58%対42% カーショウ
ジョンソン 57%対43% シーバー
ギブソン 77%対23% グッデン

3回戦
ルース 53%対47% ウィリアムス
ゲーリッグ 54%対46% ボンズ
コーファックス 69%対31% ジョンソン
ギブソン 60%対40% マルティネス

準決勝
ルース 52%対48% ゲーリッグ
ギブソン 63%対37% コーファックス

決勝
ギブソン 55%対45% ルース

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