白山工業、地震時に複数の建物の被害状況を一元管理できる「IoT地震観測サービス」を提供開始

内閣府の「防災に関する世論調査」(2017年11月)によると、大地震が起こった場合の心配として「建物の倒壊」を挙げた人の割合が72.8%と最も高くなっている。一方、国や自治体が運用する約4,400地点の観測点により、わが国は世界トップ水準の地震情報システムを有している。しかし、地震による揺れの大きさは建物構造や地盤状況によって異なるため、実際の被害の大きさは震度情報だけでは推定は困難だという。そうした中、地震観測網や火山観測システムへの機器を提供している白山工業株式会社は、LTE-M通信対応の地震計端末とクラウドを組み合わせた「IoT地震観測サービス」の提供を開始した。IoT地震観測サービスは、計測のための地震計から、データの管理・活用のためのクラウドまでを一元的に提供する。サブスクリプション方式の採用で地震計の購入やシステム構築の費用が不要となり、導入費を抑えることができる。また、顧客のシステムへのAPI連携など、要望に応じた活用が可能だ。その他の主な特長は以下の通り。

  • 広域・多拠点・ピンポイントでの計測が可能
  • 大地震発生時の被害状況の把握を容易にし、初動対応時間を短縮
  • マップ表示により状況把握が容易実測値から算出したピンポイント震度などを地図上に表示する。さらに、国立研究開発法人 防災科学技術研究所で公開されている250mメッシュ震度推定の情報表示を追加予定だ。
  • 地震発生時のプッシュ通知機能を標準装備建物に取付けた地震計が一定の揺れを観測すると、あらかじめ設定した宛先へ情報を配信する。スマートフォンなどで専用サイトにアクセスすることで、世界中どこでも状況把握が可能だ。
  • 簡易被災度推定ツールを提供地震の揺れの後、揺れの大きさと建物の強さを比較して住宅の健康状態を表示する無料アプリ「地震あんしんカルテ」が表示される。現在は大スパン構造など特殊な建物を除く低層建物のみ利用可能である。

なお、導入初年費用は120万円から(20端末での試算例、条件により異なる)である。今後は、大地震発生時の初動対応に役立つだけでなく、例えば製造業・流通・交通業界では、重要拠点やサプライチェーンの被害状況推定などのリスク対策、電力・水道・ガス等のライフラインに係る業界では遠隔地の無人施設の被害状況推定などに活用できると見込んでいる。

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