<レスリング>残りのオリンピック予選は1年遅れて開催…UWW理事会が決定し通達

当初の予定通り、決戦の地となるか、中国・西安=昨年のアジア選手権(撮影・保高幸子)

 世界レスリング連盟(UWW)は4月6日、ネナド・ラロビッチ会長や理事会名にて各国協会に対してメールを送るととともに、ホームページ上で、来年夏に延期された東京オリンピックの未開催の予選(欧州、アフリカ&オセアニア、アジア、世界最終)は、2020年とほぼ同じ時期に、同じ主催者(国)で実施することなどを通達した。

 国際オリンピック委員会(IOC)の決定により、現在までに獲得した出場資格は、そのまま保持される。したがって、日本が出場枠を取っている男女8階級は、出場枠をキープ。取っていない男女10階級は、まず2021年3月末のアジア予選(中国予定)に挑み、取れなかった階級は4月下旬か5月初めに世界最終予選(ブルガリア)へ臨むことになる。

 新しい予選とオリンピックには、2021年時点での年齢の選手の出場が認められる。シニアの出場資格は、同年12月末の段階で「18歳」であることが必要。当初の日程なら、2021年に18歳になる選手(2003年1月1日生まれ以降の選手)は出場できなかったが、2003年12月31日生まれまでの選手の出場が可能となった。

 一方、国籍変更は凍結され、2021年に国籍を変えた選手は、予選およびオリンピックに出場することはできない。

 他に、2020年6月30日までのUWW主催の選手権は、すべて延期されることとなった。したがって、すでに延期が発表されていたアジア・カデット選手権(タイ)のほか、アジア・ジュニア選手権(キルギス)も延期。他に、同期間の国際大会は、すべて中止となった。また、各国協会に対し、選手と参加者の感染防止のため、この期間の国内大会の延期を提案している。

 世界ジュニア選手権(セルビア)開始前日の9月6日に予定されている2020年総会は、同選手権が延期される可能性はあるものの、その期日に開催されることを前提に進めるという。総会では、UWWの新しい理事を決める選挙が行われる。

 ラロビッチ会長とUWW理事会ほかからの通達は下記の通り(英語原文)。


各国協会会長、選手の皆様、同士の皆様

UWW大会日程とオリンピック予選日程の決定について

 皆様とご家族がお元気であることをお祈り申し上げます。

 この書簡は、3月30日のすべての各国協会(NF)への我々の連絡をフォローアップし、4月3日の電話会議を通じて執行委員によってなされ、そして、本日、ビューローによって承認された決定について、あなた方に知らせるものです。

 選手のために最善を尽くした決断を下す前に、全NF、レスラー、コーチ、審判、選手団の皆様に以下のメッセージをお伝えしたいと思います。

 NFは、クラブ・選手と定期的に連絡をとり、できるだけ健康状態を把握することが望ましいです。これに関連して、3月30日のメッセージ(クリック)を繰り返しますが、感染した場合には、常にUWWに情報を提供し続けるよう要請いたします。

 我々は、また、貴国政府の措置および、そのような措置の解除のための計画について、UWWに引き続き通知することを要請します。

 その他の情報も定期的にUWWのウェブサイトに掲載されますので、unitedworldwrestling.org.に掲載されたニュースをご覧下さい。

 コロナウイルス封じ込めの期間、スポーツは脇に追いやられています。我々は、この不利な状況が好機になるよう、共に一生懸命働かなければなりません。どうやって? 少なくとも世界の一部の地域では、他のスポーツよりも先に競技を再開し、パンデミック終息の最初の兆候が現れ次第、準備を整えることです。

 UWWテクニカル委員会は、イベントカレンダーを作成し、多くの側面を考慮するという複雑な作業を抱えています。その作業を容易にするためには、各国の状況について、できるだけ正確な情報が必要です。この危機からの脱出の成功は、これにかかっているのです。

決定事項

1)2021年東京大会の予選および主催者
 ・残りのオリンピック予選は、2020年と同じ時期に開催されるものとする。(正確な日付の若干の調整はありうる)
 ・残りの予選は当初の予定と同じ主催者が開催する

2)今後のUWW選手権の延期
 ・2020年6月30日まで予定されていたすべてのUWW選手権は、関係者主催者、テクニカル委員会、およびスポーツ部門と協議の上、後日決定される日程に延期される。
 ・2020年6月30日まで開催予定の国際トーナメントはすべて中止。
 ・UWWは全NFに対し、すべてのアスリートおよび参加者の健康が確実に守られるよう、国内大会の中止を提案する。

 カレンダーは、パンデミックの進展に合わせて機能的に調整されなければならず、また、主催者およびNFが直面する財政上の課題を考慮しなければならない。

3)大会の参加資格
IOCはすべての国際競技連盟に対し、大会の新しい日程に照らして、資格制度における年齢資格要件を検討するよう求めた。
 ・執行委員会とビューローは、2021年に最低年齢の条件を満たす選手の参加を認めることを決定した。
 ・しかし、競技者の国籍については、執行委員会とビューローは、凍結とし、2021年に国籍変更を申請しようとする競技者は、予選とオリンピック大会に参加することができないと決定した。

注)IOCによってすでに発表されているように、割り当て済みの枠(出場資格)はブロックされており、変更されない。

4)2020年会議
 UWW総会は、現在、ジュニア世界選手権の前日の2020年9月6日に開催される予定である。この選手権は後日に延期される可能性があるが、9月に開催されるものとして、総会の招集と(理事への)立候補要請を行うことが合意された。

 私は皆様方の協力に感謝し、皆様方の健康をお祈り申し上げます。

UWW会長/IOC理事  ネナド・ラロビッチ
UWW理事会
アスレチック委員会
テクニカル委員会
メディカル・アンチドーピング委員会
コーチ委員会
審判委員会

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