<社説>辺野古軟弱地盤工事 基地建設ありきを改めよ

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 また計画のずさんさが露呈した。血税の無駄遣いをこれ以上、許してはならない。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が大打撃を受けている中ではなおさらだ。 名護市辺野古の新基地建設を巡り、軟弱地盤の改良工事に向けて政府が設置した有識者会議「技術検討会」の説明資料に20カ所のミスが判明した。護岸の安定性に関する数値の間違いに加え、計算結果が正しく反映されていない図表、粘性土の強度を示すグラフにも修正箇所があった。間違ったデータを基に審議していたことは大きな問題だ。

 軟弱地盤を巡っては、防衛省が3月までに少なくとも6件の護岸・岸壁工事の発注を打ち切っていたことも判明している。うち5件は護岸や岸壁そのものの建設に至っていないにもかかわらず、一部の工事や地質調査などに使われた経費として6件で計約303億円が業者に支出された。

 軟弱地盤が明らかになった影響で護岸建設を先送りせざるを得ないのが理由だ。この宙に浮いた多額の税金の使途について防衛省は詳細に説明する責任がある。無駄遣いになった経費があれば、極めて重大な問題だ。防衛省は本紙の取材に対し一部事業の最終支払額を3桁も間違え、224億7785万9千円を2億

9214万円と説明していた。

 護岸本体には着工せず浮具や調査などに当初契約の約1.4倍の支出をしていた。税金の使い方が極めて乱暴だ。

 ここまでミスが続けば、政府の説明の信頼性は完全に失われたと言っていい。新基地建設ありきでなりふり構わず工事を進める姿勢が原因だろう。事業の可否判断や評価の基になるデータがずさんなのだから、事業を中止して再調査や検証をすべきである。辺野古を調査した専門家が防衛省のデータや検討会の審議の在り方を疑問視して質問状を送っても、政府、検討会のいずれも再検討を拒否した。

 このやり方は、通常の公共工事の進め方から逸脱している。行政をゆがめる手法だ。

 辺野古の新基地建設を巡っては、軟弱地盤以外にも、米国が設定した飛行場周辺の高さ制限の逸脱や活断層など、建設計画策定後に新しい事実が次々と判明した。政府は総工費を当初の2.7倍に上る9300億円、完成までの期間は12年に試算を変更した。

 巨額の税金を使ってまで工事を強行するのは、県との裁判を有利に進め、埋め立ては止められないという既成事実をつくるためだろう。

 基礎的データの修正や計画変更が相次ぐずさんな工事に膨大な血税を投じるのはばかげている。県が設けた専門家会議は辺野古に固執せず在沖米軍基地を県外・国外へ分散することが「近道」と提唱している。新型コロナ対策で多額の財政支出が必要な中、辺野古新基地は最大の無駄遣いと言える。政府は基地建設ありきの強硬姿勢を改め、建設を即刻断念すべきだ。