北朝鮮の教育現場で困惑広がる「コロナで休校3回延長」

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UNESCOは今月3日、新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置で学校に行けずにいる子どもたちの数が全世界で4億2100万人に達し、何らかの形で登校に影響を受けている子どもたちの割合が91%に達すると明らかにした。

新型コロナウイルスの感染者が1人もいないと当局が主張している北朝鮮でも、事情は同じだ。当局は、2月20日、3月16日に冬休みを延長する形で全国の学校に対して休校措置を取ったが、今月3日にさらに延長されたと、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

教育省は3日、全国のすべての学校に対して「4月末まで休みを再延長せよ」との指示を下した。

その理由について教育省は「全世界的な雰囲気を考慮した」と説明した上で、「わが国には入ってきていないが、他の国での感染拡散の推移を見ると、われわれも緊張しなければならない」とした。

北朝鮮における新型コロナウイルスの感染拡大の情報が後を絶たない中、北朝鮮の感染症対策当局のトップ、保健省国家衛生検閲院長のパク・ミョンス氏は1日、AFP、共同通信など外信とのインタビューで「今までわが国国内で新型コロナウイルス感染者は誰一人としていない」と述べたが、各地から深刻な感染の実態が漏れ伝わりつつある。

休校で子どもたちの学習を遅らせるという史上初の措置が行われ、さらにそれが3回も延長される事態を受けて、市民の間では「コロナの感染状況が深刻なのではないか」との疑念が深まっていると情報筋は伝えている。

ちなみに今月7日午前の時点で、新型コロナウイルスの感染が確認例がゼロなのは、16カ国に過ぎない。北朝鮮以外では、医療体制が整っていないとして早期から国を閉鎖したバヌアツ、サモア、キリバスなどの小さな島国、内戦中のイエメン、「リッチな北朝鮮」などと揶揄される全体主義国家のトルクメニスタンなどだ。

教育省は、5月初めには何があっても学校を再開すると言っているが、実際に再開できるかは不透明だ。3回に渡って冬休みの延長命令が出されたことで、各学校は休校となった3ヶ月分の学習をいかに補習でまかなうか苦心している。教育省は補習について「教員と現地の実情に合わせよ」との指示を出している。

各学校では、7〜8月の夏休み期間に補習授業を行い、学習量を確保する方針だ。すでに「夏休みはない」との前提で学習計画の立案に乗り出している。

一方で、児童や生徒に対しては「それぞれ家で隔離をきちんと行うのが愛国心の発現」と強調するばかりで、具体的な指示は下していないとのことだ。

北朝鮮では、イントラネット(国内だけ繋がるインターネット)に「知識の海」「最優等生の友」というサイトがあり、オンライン学習ができるようになっており、携帯電話やスマートフォン、パソコンがあれば、自宅でも自習が可能だ。ところが、携帯電話を使っている人は全人口2500万人のうち、450万人(KT南北協力タスクフォースチーム長イ・ジョンジン氏の推計)に過ぎない。

携帯電話を持っていない児童、生徒は学校に設置されたパソコンで学習サイトにアクセスできるようになっているが、学校に行けないため、家で教科書や参考書で勉強するしかないが、その教科書すら買えない子どもたちがいる。

「国内のイントラネットで勉強しろと言われても、パソコンがない家庭はどうしろというんだ」(情報筋が伝えた親の声)

また、デバイスを持っていても、ネックになるのは通信料金だ。

通信料金は、導入当初よりかなり安くなってはいるものの、ヘビーユーザーになるほど料金がかさむシステムになっていることもあり、携帯電話やスマートフォンを持っていても、実際に使えるのは通信料金を負担できる幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)だけという不満の声が上がっていると情報筋は伝えた。

一方、他の学校同様に休校措置が取られている最高学府の金日成総合大学。秀才組の学生は、全員が博士院(大学院)への進学が決まり、今月1日から、徹底した防疫措置のもとで講義を受けているとのことだ。