荒れた相場で大事な4つのこと、投資はあくまで人生の“脇役”である

4月7日、新型コロナウイルスの感染者が急増していることを理由に、東京など7都府県を対象に「緊急事態宣言」が出されました。生活の維持に必要な場合を除いて、外出が自粛となりました。筆者も在宅の時間が増え、ニュースやSNSを見る機会が多くなっています。

株式市場も大荒れですが、投資家の発言や行動で気になる部分がありましたので、この相場と向き合うときに大事なことを4つ共有したいと思います。


自分で考える習慣を身に付けよう

新型コロナウィルスの影響で実体経済だけでなく、株式市場も大荒れの展開となっています。米国株式市場では2月の段階では30,000ドル目前まで上昇していたNYダウは、3月下旬には18,000ドル台まで急落したものの、その後数日で20%以上も値を戻しました。

これだけ相場が目まぐるしく動くと、SNS上では今後の見通しについて意見が飛び交い、投資系のニュースでも専門家によるさまざまな解説を目にします。

しかし、投資の世界に限りませんが、「将来のことは誰にもわからない」のです。なかには、ネット上に流れている情報を鵜呑みにして投資をする人もいるようですが、大変危険な行為です。投資は自己責任ですので、「〇〇さんが言っていたから」と投資するのもその人の判断である以上、筆者は何も言えません。ですが、情報を鵜呑みにして投資をしていると投資に必要な能力も育ちません。

どれだけ調べても、勉強しても将来を正確に予測はできませんが、投資の意思決定までにさまざまなシナリオを自分の頭で考えることで、予想と違った相場展開になった際に、自分が何を見落としていたのか、次に繋がる気付きを手に入れられるのです。情報が増える局面だからこそ、自分で考える習慣を身に付けましょう。

休むも相場

今回の急落で投資家が、積立投資を全て解約したり、毎月機械的に定額投資していたものを今がチャンスと増額したりといった話も聞きます。

私たち投資家はマーケットを操ることはできず、受け入れることしかできません。そう考えると、他人の投資判断に何かを言うつもりはありませんが、相場の動きに合わせて自分の投資スタイルを都度変えていくのは非効率であり、あまり好ましいものとは思いません。

また、あまりにも相場を見過ぎると、値動きに感情が揺り動かされ、冷静な判断ができなくなったり、分析にバイアスがかかってしまうこともあります。投資の世界にはいくつもの格言が存在しますが、こんな時こそ「休むも相場」を思い出しましょう。

この数年は顕著ですが、一度相場のボラティリティが高まると、しばらくは大きく乱高下する傾向が見られます。こういう時にタイミングよくトレーディングしたり、レバレッジをかけると大きく儲けられると言う人もいますが、裏を返せば短期間で大金を失うリスクがあるとも言えます。

“休む“というのは投資を一切しないこともそうですし、既に定期で積立投資しているものをやめたり、額を増減させずに淡々と続けることも含まれると考えます。

本源的な価値を見直そう

インデックス運用やリスク・パリティ運用(株や債券など投資している各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有する運用手法)と呼ばれる投資スタイルが世界中で幅をきかせていることや、アルゴリズム取引やAI取引の普及によって、株式市場が大きく下がると多くの銘柄が業績に関係なく一斉に売られるという光景を目にする機会が増えています。

個別株投資をしている投資家は、自分が良いと思って投資した銘柄の株価が想像以上に下落したことでショックを受けていることでしょう。

しかし、個別企業の本源的な価値はそこまで変わりません。新型コロナウィルスの影響で経済環境が悪化すれば当然企業の業績も悪化するかもしれませんが、しっかりと価値を生み出せる企業はいずれ経済が改善していけば、それとともに株価も業績も上昇するでしょう。

実際、新型コロナウィルスの影響で企業の業績悪化は確認されていますが、このような環境下でも商機を見つけている企業があるのも事実です。帝国データバンクが発表している「TDB景気動向調査」の2020年3月分のデータによれば、売上高が減少している企業は 55.8%と半数を超え、売上高が増加している企業の割合(21.4%)を大きく上回っています。見方を変えれば約2割の企業は売上を伸ばしているのです。

投資は人生の脇役である

最後に覚えていてほしいことは、「投資は人生の脇役である」べきだということです。投資を通していろいろなことを学び、時に仲間とする投資談義は非常に楽しいものです。

しかし、あくまで投資は脇役であるべきです。銀行預金では資産を増やすことができないので、余剰資金の一部を貯金から投資に回す。定期的な収入は仕事の対価として、お金を稼ぐ。これがあるべき姿です。

間違っても、貯金を切り崩してまで投資にお金を回したり、1日中チャートを見続けるなどの行動をしてはいけません。

今回のように相場が荒れ始めると、信用取引で大損をしたなどの情報が出回り、「やはり投資は危ない」とねじれた認識が広まりますが、それは必要以上にリスクをとりギャンブルをした結果であり、本来の投資の姿ではないのです。

余剰でない資金や、生活資金を崩して投資につぎ込んでいる人は相場の変動で精神的に疲弊してしまいます。既に投資が人生の大部分を占めてしまっている状態です。株価の動きで精神的に疲れてしまうのであれば、現在投資している金額を減らすべきです。

投資は適切な額を運用しているのであれば、将来人生を豊かにしてくれるパートナーになりますが、あくまで脇役であることを忘れないでください。本業に支障が出たり、精神的にダメージを受けるようでは人生の主役であるはずのあなたが、いつの間にか投資に主役を奪われています。

このような相場環境だからこそ、投資とは適切な距離感をもって長い付き合いをしていきましょう。

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