夜の地球から見えた中国・湖北省の人間活動の停滞 新型コロナの影響

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新型コロナウイルスの影響により1月下旬に中国湖北省での経済活動や移動が制限されたときの様子が衛星画像から捉えられていました。NASAのゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center: GSFC)とアメリカの大学宇宙研究協会(Universities Space Research Association: USRA) からなる研究チームは、夜の地球を撮影した画像を解析し、エネルギー消費、輸送、人の移動、その他の経済・社会活動のパターンを研究してきました。下の画像は今年1月19日と2月4日の、中国・武漢周辺を撮影したものです。「G」や「S」がついたところは高速道路を表しており、湖北省の約6000万人の人々に関わる交通網や経済活動が制限される前後でかなり暗くなっているのがわかります。

2020年1月19日の武漢周辺。「Wuhan」が武漢を示す。周辺の「G」「S」は高速道路。
2020年2月4日の武漢周辺

また、最初の画像は武漢の商業地「江漢区」(画像中のJianghan District)とその周辺の住宅地を撮影したものです。こちらもやはり2月4日はいくつかの場所で暗くなっています。研究チームのMiguel Román氏は「夜の画像に映る光は単に道路がどこにあるかを示しているのではなく、その道路が使われているのか、使われているならいつなのかといったことを教えてくれます。私たちは人間活動を見ているのです。都市であれば、持続可能な形で変化しているか、どのようにエネルギーを消費しているか、人々はいつどこに、どのように移動しているのかといったことが見えてきます。都市は、社会経済・人々の動き・土地の使い方を表す現象なのです。」と述べています。

画像データは2011年に打ち上げられたNOAA(アメリカ海洋大気庁)とNASAの衛星「Suomi NPP」に搭載された観測装置「Visible Infrared Imaging Radiometer Suite」(VIIRS)によるものです。VIIRSは可視光と赤外線を観測し、地上からの光がどのようなものによるものかを調べることができます。ただしある日に撮影した画像をそのまま使えるわけではありません。観測される光は月の明かりや雲、大気汚染、降り積もった雪、そして植生といったものによって影響を受けてしまうためです。これを避けるため、Suomi NPPは16回に渡って同じ角度から撮影を行い、さらに研究チームは大気の状態や月の満ち欠けなども考慮してデータを処理しました。幸いにも撮影時には雲が比較的少なく、今回の画像を得ることができたということです。

Credit: NASA Earth Observatory images by Joshua Stevens, using Black Marble data analysis by Ranjay Shrestha/NASA Goddard Space Flight Center, VIIRS day-night band data from the Suomi National Polar-orbiting Partnership, and Landsat data from the U.S. Geological Survey.
Source: NASA
文/北越康敬