神戸 癒しのカフェを求めて vol.2 ~元看護師が営む、優しさにあふれた小さなお部屋~

 グレーがかったベージュの壁に、木のぬくもりを感じるテーブルや椅子。あえてシンプルに作られた清潔感のある店内。ここで過ごす時間は、心地よく、ゆっくりと進んでいく……。

 昨年(2019年)の1月、20年以上看護師として働いていた岩切裕子(いわきり・ゆうこ)さんが、カフェ「petit grenier(プティ・グルニエ)」をオープンした。JR元町駅から南に歩いて5分ほどのところに、ひっそりと佇む静かなカフェだ。

 オーナーの岩切さんは、看護師時代から店を開くことを夢見てきた。

「petit grenier」オーナーの岩切裕子さん

 忙しく、めまぐるしい看護師としての日々。キャリアをつむほど孤独を感じることもあったという。家族や友人に言えない悩みや不安もあった。そんな毎日の中で「今の自分と同じように悩みを抱えている人や、気持ちが落ち込んでいる人が、家に帰る前に少し力を抜いて、リラックスできる空間を作りたい」と強く思うようになった。

 そんな思いから、店内は、誰もがゆったり過ごせるようにと、細かな気配りや工夫が至る所に施されている。席と席の間には充分すぎるスペースを確保。1人で訪れた人のために、カウンターには、自身が読みやすかった本や雑誌が置いてある。ただ「店内にあまりモノは置かない」というのも岩切さんのこだわりだ。視界に無駄な情報がない空間は、想像以上にリラックスできる。常連のお客さんから「これからも物は置かないで」と言われることも多いという。

本や雑誌は自由に手に取ることができる。お客さんの要望に応えて、人気のCHAIも販売している

 12時にオープンし、ランチやカフェ利用だけでなく、仕事帰りにも立ち寄れるよう、平日は夜9時まで利用できる。岩切さんの気分によって日ごとに変わるメニューも楽しみの1つ。オーガニックの野菜を中心に、素材の味を活かすように作られたランチは心身ともにデトックスされる優しい味だ。デザートのケーキも、砂糖やバターなどは必要以上に使わない。「ヘルシーなのに美味しい」と女性ファンも多い。ドリンクメニューも豊富で、「ケーキとワインの組み合わせもおすすめですよ」と岩切さん。

この日のランチは、小松菜とベーコンのケークサレ(塩味のケーキ)・大根とバターのポタージュスープ・キャロットラぺ クミン風味・mixビーンズとツナのマリネ・リーフサラダ
一番人気のキャロットケーキ(バター不使用)くるみの食感と、ほんのり香るシナモンとジンジャーの香りが癖になる。ケーキの表面にトッピングされたクリームチーズも相性抜群

“petit grenier”はフランス語で「小さな屋根裏部屋」を意味する。「自分のもう1つの部屋として、この空間で過ごす時間を好きに自由に使ってほしい」と岩切さんは話す。最近、少し疲れを感じていたり、癒されたいと感じているあなたにこそ足を運んでほしい。

※ラジオ関西『PUSH!』2020年4月8日放送回より

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