ソフトバンク周東が断トツ、起用回数は信頼度の証? パ・リーグ代走ランキング

ソフトバンク・周東佑京【写真:丹羽海凪】

ソフトバンクの周東はリーグトップの47回を記録

 野球選手にとって、スタメンに選ばれ、ゲームの終盤まで出場し続けることは目標の1つとなるだろう。一方で、「代打」や「守備固め」のように、試合終盤に登場するその道のスペシャリストたちも、野球における欠かせないピースである。

 今回は、そのスペシャリストの中でも「代走」に焦点を当てる。昨季、ソフトバンク・周東佑京内野手の活躍によって脚光を浴びた走塁のスペシャリストというポジションだが、パ・リーグ各球団ではどのような選手がその役割を担っていたのか。6球団からそれぞれ、昨季の代走起用数上位5名をピックアップし、その傾向を見ていきたい。

【西武】
1位 水口大地内野手 15回
2位 熊代聖人外野手 13回
3位 愛斗外野手 7回
4位 木村文紀外野手 6回
5位 佐藤龍世内野手 5回
5位 永江恭平内野手 5回

 昨季パ・リーグ2連覇を果たした西武では、水口の起用数が最も多かった。2018年こそ5回に終わったものの、17年には28回、16年には13回と、プロ通算で61回の代走起用を経験している。今季も、試合終盤の勝負所で背番号「0」が塁上を駆け抜けてくれそうだ。

 また、昨季出場試合数を大きく伸ばした愛斗は、代走起用数でも3位にランクイン。5位の佐藤龍とともに、今季はレギュラーポジションをうかがう活躍に期待したい。

【ソフトバンク】
1位 周東佑京内野手 47回
2位 高田知季内野手 18回
3位 釜元豪外野手 14回
4位 上林誠知外野手 12回
5位 福田秀平外野手 8回

 ひと際目立つのは、周東の47回という数字だろう。リーグ2位のロッテ・岡の25回と比較しても、20回以上の差をつけてリーグトップの起用回数を記録した。昨年11月に行われたプレミア12での、二盗、三盗を連続成功させたシーンも記憶に新しい。今季は自慢の快足を武器に、さらなる出場機会を狙っていく。

 そしてソフトバンクの特徴として、代走起用の回数が他チームと比べて多いことが挙げられる。2位の高田で18回、3位の釜元で14回という数字は、他球団であればトップでもおかしくないものであった。工藤公康監督による控え選手の絶妙な起用が、チームを3年連続日本一に導いたとも言えそうだ。

楽天ではドラ1・辰己がトップの10回、ロッテは岡が25回を記録

【楽天】
1位 辰己涼介外野手 10回
2位 オコエ瑠偉外野手 9回
3位 山崎幹史内野手 8回
4位 小郷裕哉外野手 6回
4位 三好匠内野手 6回(トレード)

 楽天では、2018年のドラフト1位ルーキー・辰己が10回の起用でトップに立った。開幕から1軍入りを果たすと、4月に3回の代走起用を経験し、その後は先発に定着。約3か月間スタメンでの出場が続いたものの、8月に入ると4回の代走起用を経験するなど控えに回る機会が増えた。今季は、この回数を減らすことが、レギュラー獲得への物差しとなる。

 その他では、シーズン途中に広島へトレードとなった三好は、短い集計期間にも関わらず6回の代走起用を記録。一方で、トップの辰己でも10回と、パ・リーグを見渡しても代走起用の少なさが目立つ結果となった。

【ロッテ】
1位 岡大海外野手 25回
2位 三木亮内野手 18回
3位 細谷圭内野手 13回
4位 加藤翔平外野手 12回
5位 三家和真外野手 4回

 移籍2年目のシーズンとなった岡が、リーグ全体でも周東に次ぐ2位となる25回を記録した。昨季はそれに伴って盗塁数も増加。2015年に記録したキャリアハイ・18盗塁に迫る13個の盗塁を決めた。年々存在感を増す韋駄天は、今年もその脚でチームに貢献する。

 2位の三木はシーズンを通して様々な役割をこなす中、開幕から間もない4月、そしてCS争いを繰り広げた9月に多くの代走起用があった。キャリアハイの盗塁数を記録したバイプレーヤーは、縁の下の力持ちとなってチームを支えていたと言えそうだ。

【日本ハム】
1位 杉谷拳士内野手 14回
2位 中島卓也内野手 12回
3位 平沼翔太内野手 5回
4位 石井一成内野手 4回
4位 谷内亮太内野手 4回

 杉谷、そして中島は、ともに2018年シーズンから打撃成績を落とす結果に。控えに回る機会も増え、代走起用数もそれに応じて増えることとなった。新たな戦力の台頭もある中で、今季はその数を減らしていきたいところ。

 一方で、3位、4位には伸び盛りの選手たちが並んだ。平沼は、昨季自己最多となる73試合に出場。プロ初本塁打も放つなど、今季の飛躍に向けて確かな経験を積んだ。石井一は、18年には1割台となった打率を.224とし、出場試合数も増加させた。ともに内野のレギュラーポジションを狙う存在だけに、今季はこのランキングにも大きな変動があるかもしれない。

【オリックス】
1位 佐野皓大外野手 16回
2位 後藤俊太外野手 8回
2位 小田裕也外野手 8回
4位 安達了一内野手 5回
5位 鈴木昂平内野手 4回

 オリックスでは、野手転向2年目のシーズンとなった佐野が1位に輝いた。キャリアハイとなる68試合に出場した昨季は、持ち前の身体能力を生かして12盗塁を記録。プロ初本塁打も放ち、野手としての素質の高さを見せつけた。プロ入り後に野手転向を果たした苦労人は、今季さらなる飛躍を遂げることができるか。

 同率の2位には、熾烈な外野手争いに臨む2選手がランクイン。ジョーンズの加入でポジション争いが激しくなる中、俊足を武器とする後藤、小田、さらにはランキング1位の佐野はどのようにアピールしていくか、注目だ。

 パ・リーグ6球団の代走起用数を見てみると、「伸び盛りの若手」が起用されているケースと、「俊足が武器のバイプレーヤー」が活躍しているケースの2パターンが中心となっていることが分かった。今季は、各球団の代走勢力図がどのように変わっていくのか。「代走起用回数」の変化を観察することで、将来を担う存在の台頭をいち早く見つけられるかもしれない。(「パ・リーグ インサイト」成田康史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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