強い不公平感が漂う「30万円」の給付

財源はみんなで負担、給付は一部の世帯に限定。新型コロナウイルス感染症の影響で収入が大きく落ち込み住民税非課税水準になるなど、厳しい条件に沿う世帯にのみ30万円の給付が行われる制度に不公平感が強く指摘されている。基準とされるのは世帯主の収入のみで家族全体の収入減ではない。

 安倍晋三総理は7日の記者会見で「収入が減少していない人に給付するのはどうか」と疑問を投げた。しかし、給付財源が税や国債であること、V字型景気回復を視野に入れれば全世帯一律に給付する方が公平感と期待感が出る。今後の課題になりそう。

 一律給付について安倍総理は「自民党にも一律で給付した方がいいではないかという議論があった」としたうえで「私たちも検討した。国会議員もそうだが、公務員も今、この状況でも全然影響を受けていない。収入に影響を受けていない(人たちに)果たして5万円とか10万円の給付をすることはどうなのだ、という点も考えなければならないのだろう」と語った。

 そのうえで「本当に厳しく収入が減少した人たちに直接給付が行くようにしていきたいと考えた。なるべく早く補正予算を通していただいて、5月に直ちに出ていくようにしていきたい。全員給付になると手に届くまで3か月ぐらい時間がかかってしまう。今回はスピードも重視した。どこかで線引きしなければいけない」などとして理解を求めた。しかし、納税している国民の立場からは強い不公平感が漂う状況だ。

 日本共産党の志位和夫委員長は政府の1世帯30万円給付について「対象が著しく狭く、不公平も拡大する。例えばサラリーマン年収300万円だった人の場合、149万円まで減れば30万円給付され合計179万円。151万円まで減っても半減に届かないのでもらえない。すべての国民に1人10万円を」とツイッターで訴えている。不公平是正に与野党差異はなさそう。(編集担当:森高龍二)

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