阪神・福留孝介が現役最年長に 数々の名選手がいた12球団の“1977年世代”は…

阪神・福留孝介【写真:津高良和】

荒木雅博氏は77年生まれのNPB選手では最多となる2045安打を記録

 2019年限りで1975年生まれの巨人、上原浩治氏とロッテ福浦和也氏が引退したため、1977年生まれの阪神、福留孝介外野手が現役最年長選手になった。福留と同じ1977年度生まれの主な選手を見ていこう。まずは野手から。

荒木雅博(1996-2018)
2220試7639打2045安34本468点378盗 率.268/中日

福留孝介(1999-)
1866試6527打1897安280本1045点76盗 率.291/中日-阪神

日高剛(1996-2014)
1517試4031打956安79本434点11盗 率.237/オリックス-阪神

J・オーティズ(2003-2013)
821試2845打772安135本433点14盗 率.271/オリックス-ロッテ-ソフトバンク-西武

藤本敦士(2001-2013)
1001試2463打619安14本208点27盗 率.251/阪神-ヤクルト

E・ヘルマン(2012-2015)
502試1778打494安15本182点128盗 率.278/西武-オリックス

宮出隆自(1996-2012)
701試1655打458安39本216点15盗 率.277/ヤクルト-楽天-ヤクルト

葛城育郎(2000-2011)
750試1680打417安35本171点5盗 率.248/オリックス-阪神

鶴岡一成(1996-2016)
719試1423打335安18本140点3盗 率.235/横浜-巨人-DeNA-阪神

A・ジョーンズ(2013-2014)
281試926打215安50本165点6盗 率.232/楽天

 この世代では、中日でデビューした荒木と福留が1000本以上の安打を打っている。

 福留は1995年夏の甲子園にPL学園の主軸として15打数7安打2本塁打7打点の大活躍。この年のドラフトの目玉となり、7球団が指名、近鉄が交渉権を獲得したが入団拒否。日本生命に進み、1998年のドラフトで中日に逆指名で入団。翌年には高校の先輩で尊敬する立浪和義と二遊間を組む。

 2001年には外野にコンバートされ、翌年には首位打者を獲得するなどリーグ屈指の強打者へと育っていく。2008年にはMLBに移籍。2013年には阪神に入団。福留はMLBとの通算では、2395安打を打っている。福留が外野にコンバートされた翌年に外野から二塁にコンバートされたのが同期の荒木雅博。熊本工からドラフト1位で中日に入って6年目のことだった。荒木は井端弘和と二遊間を組み「アライバコンビ」で一世を風靡する。

 野手陣では、強打の捕手として活躍した日高剛、阪神で赤星憲広と1、2番コンビを組んだ藤本敦士などがいる。また、外国人では9年にわたってNPBでプレーしたオーティズ、さらにMLBで434本塁打を打った強打者で、2013年の楽天の初優勝に貢献したアンドリュー・ジョーンズがいる。

投手には斉藤和巳や安藤優也といった好投手がいた

 続いて投手。

藤井秀悟(2000-2014)
284試83勝81敗0S2H 1463.1回 率3.77/ヤクルト-日本ハム-巨人-DeNA

斉藤和巳(1996-2010)
150試79勝23敗0S0H 949.2回 率3.33/ダイエー-ソフトバンク

安藤優也(2002-2017)
486試77勝66敗11S76H 1121回 率3.56/阪神

長谷川昌幸(1996-2011)
209試42勝61敗0S9H 900.1回 率4.44/広島-オリックス

木塚敦志(2000-2010)
490試35勝25敗24S88H 462.1回 率3.35/横浜

加藤武治(2003-2011)
294試30勝28敗9S48H 454.1回 率3.61/横浜-日本ハム

江尻慎太郎(2002-2014)
277試28勝20敗1S53H 441.2回 率4.38/日本ハム-横浜-DeNA-ソフトバンク

石井弘寿(1996-2011)
339試27勝15敗55S11H 426.2回 率2.66/ヤクルト

横山道哉(1996-2009)
370試21勝26敗45S20H 449回 率3.89/横浜-日本ハム-横浜

R・バルデス(2015-2017)
65試17勝24敗0S0H 404.2回 率3.49/中日

 藤井秀悟は今治西高3年の春に甲子園に出場するも、準々決勝で左ひじ靭帯を損傷。登板にドクターストップがかかった。早大を経てヤクルト2位(逆指名)で入団。2001年に最多勝を獲得するなど、先発投手として活躍。

 この世代で最も強烈な印象を残したのは、斉藤和巳だろう。2002年まではシーズン通して活躍することはなかったが、2003年に20勝を挙げる。この年はセ・リーグで井川慶も20勝を挙げており、両リーグで20勝投手が誕生したのは1982年の広島・北別府学、日本ハム・工藤幹夫以来21年ぶりだった。2006年までの4シーズンで64勝。故障のために以後は活躍できなかったが、ホークスの絶対的なエースとして活躍した。沢村賞2回は最強投手の勲章だ。

 安藤優也はプロ入り後、リリーフとして活躍し、4年目からは先発投手として活躍。36歳でセットアッパーに再転向、福原忍とともに円熟した投球で阪神投手陣を支えた。長谷川昌幸は銚子高から広島にドラフト1位で入団した大型右腕。2002年には13勝を挙げている。木塚敦志は横浜のセットアッパーとして2001年には最優秀中継投手に。

“福留世代”は、3歳下の松坂世代に比べれば、派手な活躍をした選手は多いとは言えない。しかし、平成後期のプロ野球界で、しっかりと実績を残した選手が多い。その最後の一人である福留孝介は、あと103安打でNPB単独での2000本安打に到達する。

 今季の開幕はいつになるか見えない状態だ。試合数の削減も予想されている。43歳になる福留には、厳しい状況だが、2000本の大台を目指してほしい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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