コロナ暴落でマイナス!50代の企業型DCどうすればいい?

新型コロナウィルスの収束が見えない中、世界の株式市場では乱高下が続いています。

退職金の運用を確定拠出年金で行なっている50代の人はどうすればいいのか不安に思われているかもしれません。


3つのパターンから今後の運用を考える

とりあえず、今の状況を確認してみましょう。確定拠出年金の運用商品は定期預金など元本確保型と投資信託など元本変動型に分かれています。自分が運用している商品を把握していない人もいるかもしれませんからまずは現状確認を行ないましょう。

特に元本変動型で運用している場合には、今回のコロナ暴落の影響があるはずです。確認して今後の運用方法をどうしたいか?元本変動型で運用している場合、以下の3パターンに分かれることでしょう。

1.運用継続のパターン
何もしないで放っておくことは、長期積立投資の基本です。確定拠出年金の運用はタイミング分散を自動的に行えるため運用を継続することで資産額が早期に回復する期待を持つことができます。ただし、回復には時間がかかる可能性があり50代であれば悩ましいところです。

2.元本確保型へ変更パターン
元本確保型へ変更すれば、今後の値下がりと資産額の減少を心配することはなくなります。ただし、元本変動から元本確保へ変更した時点で損失が確定することになり、現在の金利状況では元本確保の運用で資産を増やすことは厳しいと言えます。

3.元本変動型へ変更パターン
元本確保型を組み入れている場合、元本変動型へ預け替える(スイッチング)ことや、毎月の掛金拠出を全て元本変動型へ変更することで資産額を増やせる可能性があります。というのも、相場が下がっている時に買い増すことでその後の相場上昇で利益を得られるからです。

ただし、逆に相場が下落した時には損失が膨らむ可能性もあります。このような積極的運用を選択するのは、適切とは言えないかもしれません。

今後の状況を確認することで対策はとれる!

50代の会社員で想定されるのは、60歳退職で65歳まで雇用延長という働き方でしょう。そこで50代で元本変動型の運用をしている場合に考えておきたいことは以下の2点です。

・企業型確定拠出年金をあと何年続けられるのか?

・給付開始年齢は?

企業型確定拠出年金は会社の制度になります。つまり、退職までの年数が、積立運用ができる期間ということです。そもそも50代になったら元本変動型から元本確保型へ資産を移しておくことが王道でしょうが、元本変動型で運用をしていた人もいるかと思います。

筆者の元にも全資産を元本変動型で運用していたが、今回の暴落で利回り6%前後から一気にマイナスになってしまったがどうすればいいのかというご相談も寄せられています。損失を目の前にして、これ以上の損失は見たくないからと売却をしようかと悩まれている方もいらっしゃいます。

退職までに資産額が回復するかはわかりませんが、売却をしてしまえば損失は確定することになります。

残りの運用期間の確認を

そこで確認しておきたいのが残りの運用期間です。65歳まで雇用延長を利用して同じ会社で働く場合であっても60歳で退職金を一旦受け取る人が多いと思われますが、退職金規定などで確認しておくことをオススメします。

また、60歳まで確定拠出年金の加入期間が10年未満の場合、支給開始年齢は加入者期間により異なります。給付開始年齢についても確認しておきましょう。

確定拠出年金の加入者期間と支給開始年齢

資料:厚生労働省・確定拠出年金制度の概要を元に筆者作成

残りの加入年数と支給開始年齢を確認して、60歳以降の働き方や働く場合の給与見込額、確定拠出年金以外の退職金や公的年金の見込額、その他資産額を確認して60歳以降のキャッシュフローを計算しておく必要があります。

というのも確定拠出年金の積立は60歳までになりますが、60歳時点で必ず受け取りをする必要はありません。70歳までの10年以内であればいつ受け取りをしても良いのです。つまり、運用を継続しながら株式市場の回復を待つこともできるということです。

また、60歳以降につみたてNISAなどを利用して積立を続ける余裕があれば資産額の回復が早くなる可能性もあります。確定拠出年金の受け取りを据え置くことができるかを判断するために、キャッシュフロー表を作成して確認を行うのです。

キャッシュフロー表に馴染みがない人もいるかと思いますが、作成することで将来の家計収支を目で見て確認することができるようになります。日本FP協会のホームページから無料で家計のキャッシュフロー表をダウンロードできるので参考にしてください。

Excelに入力できれば簡単に作成できます。60歳時点で確定拠出年金を受け取らないと家計がもたないと分かった場合でも、夫婦で働いて収入を増やすなどで受け取りを延ばす対策も考えられるようになります。

今回の大暴落で不安な思いをしている50代の方も多いことと思いますが、現状確認を怠らずに夫婦で話し合いこの難局を乗り越えていきましょう。

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