新型コロナで巣篭もり状態、“2人以上の訪問者”に注意すべき理由

新型コロナウィルス蔓延の影響により、東京都など各都道府県から不要不急の外出制限の要請がなされており、旅行など行かずに家にお籠りする人が多くなっています。すると、犯罪者はその状況に合わせた手口を考え出します。特に今年に入って都内で急増しているのが、訪問盗です。

訪問盗という言葉自体、あまり聞きなれないかもしれません。これは工事関係会社などを装った人物が家を訪れて、相手が目を離した隙に窃盗をするという手口です。今、新型コロナウィルスの蔓延により、自宅にとどまる人が多いために、多発してきました。


点検を理由に

電力会社を名乗る作業服の男らが家にやってきます。この時、必ず2人以上でやってきます。そして「漏電の恐れがありますので、電気の点検をさせてください」と言います。

確かに漏電からの火災はよく耳にしますので、築年数の経った家に住む人はすんなりと招き入れてしまうことでしょう。そしてブレーカーなど「電気系統を確認したいので、立ち会ってください」と言います。そして、1人の作業員を2階などに案内しているうちに、同行してきたもう一人が家にある金品を物色して盗み出すのです。しかも厄介なことに、点検を断っても「緊急」を理由に敷地内に入りこむこともあります。すでに都内では高齢女性の財布から15万円が抜き取られるなどの被害が出ています。

この手口自体は以前からあり、たとえば大手の電話会社を装って「電話回線のチェックをします」と家に入り込み、同様に1人に気を取られているうちに、もう一人が窃盗を行ったということもあります。「点検」を口実に家に上がり込むことが多いので、私はわかりやすく「点検窃盗」という言い方をしています。

この背景には、新型コロナの蔓延により在宅率が高まっていることを話しましたが、犯罪者からの事情からすれば、国内外への旅行をする人が少なくなったため、空き巣ができなくなった。それゆえに、それを生業とするような犯罪者らが、徒党を組み、点検窃盗などにシフトしてきているのではないかとも考えています。

この手口は台風などの災害後にも気をつけてほしいものです。昨年、千葉県などで台風の影響で電気が通じなくなりました。ようやく多くの家に明かりがついて安心したところに「電気の点検」を装って工事業者らがやってきて窃盗を行ったとの報告がSNS上でもありました。台風や大雨による災害は、今年も発生すると思われますので、同様な事案が懸念されています。

WHOを名乗る手口も

こうした点検窃盗だけでなく、訪問型の詐欺や悪質商法にも要警戒です。すでに日本WHO協会の職員を騙り、「近所で新型コロナウィルスの感染者が出たので調べている」などと言って家を訪れて、お金を騙し取ろうした人物もいました。

確かにWHOはテレビなどで話題になっていますから、それに便乗して金を騙しとろうとしたのかもしれませんが、WHOはあまり身近な存在ではないので、嘘はバレやすいかと思います。しかし役所を騙られると、ちょっと見抜くのは難しくなるかもしれません。

愛知県では、国民健康保険課の職員だという人物が家にやってきて、「コロナウィルス感染が終息するまで、毎月マスクを配布します」といって、10万円を払うようにいってきた事例もあります。その住民はお金がないといって断りましたが、マスク不足に付け込んだ悪質な手口も気をつけなければなりません。

他にも、市の依頼を受けたという業者が「水道管にウィルスがついている恐れがあるので検査したい」と言って、家を訪問してきています。この手口では電話をかけてくることもあります。そして、水道管の取り換えの工事費用や除菌の作業費など数十万円を請求します。また、浄水器などの販売につなげてくることもあります。

こうした悪徳商法などのトラブルに遭った時には、ぜひとも消費者ホットライン188へ電話をすることをお勧めします。

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