【新型コロナ】休業補償「同一歩調を」 首都圏9都県市会議で黒岩知事

緊急事態宣言の対応についてテレビ会議する首都圏の知事と政令市の市長=9日午後7時35分ごろ、県庁

 首都圏の知事や政令指定都市の市長でつくる9都県市首脳会議は9日、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を受けたテレビ会議を開いた。東京都が企業や店舗を対象に実施を目指す休業要請を巡り、神奈川県の黒岩祐治知事は「残念ながら足並みがそろっていない」と指摘。感染リスクの軽減に向け、1都3県で歩調を合わせるよう訴えた。

 都は休業要請に応じた際に「協力金」として独自の補償を検討。一方、他県は財政力などを理由に困難としており、政府が損失補償するべきと主張している。会議で黒岩知事は、協力金について「考え方を聞きたい」と小池百合子都知事に質問。小池氏は「検討中です」と述べるにとどめた。

 会議後、黒岩知事は記者団に「われわれは歩調を合わせたいと思っている」と強調。東京の財政規模が神奈川を大きく上回るとし、「協力金というある種の補償で東京が動くと、とてもついていけない」と小池氏の動きをけん制した。

 同様の声は東京と隣接する政令市長からも相次いだ。相模原市の本村賢太郎市長は「東京だけではなく、全国一律に対策を取ってほしい。都県境で対応が変わると地域経済に影響が出る」と懸念。川崎市の福田紀彦市長も「休業要請と補償は一体であるべきだと思う。国でしっかりと措置してほしい」と述べた。横浜市の林文子市長は「指定都市市長会としても、皆で声を上げて政府にお願いする」との考えを示した。

 会議では、各都県市の住民に対し外出自粛など五つの行動を求めた共同メッセージをとりまとめた。

 これに先立ち、全国知事会は西村康稔経済再生担当相らとオンラインで会談。黒岩祐治知事は、休業やイベント自粛の要請に応じた事業者らへの損失補償について政府に対応を求めた。西村氏は「特措法に規定がない」とし、国による補償を重ねて否定した。

 知事会会長の飯泉嘉門徳島県知事は会談後、補償がない中での休業要請は「効果が出てこなくなってしまう」とし、対象地域間の統一的な対応の必要性に言及。今後も政府に補償を求めていく考えを示した。

 知事会関係者は「東京だけ協力金を出したら、他県の業者も必ず補償を求めてくる。首都圏は大変なことになる」とつぶやいた。

© 株式会社神奈川新聞社