ストレス抱えていると自覚して 大村共立病院・宮田氏 インタビュー

知らず知らずのうちにストレスを抱えているということを自覚してと語る宮田氏=大村市上諏訪町、大村共立病院

 新型コロナウイルスの感染拡大で、収束の見通しが立たない中、感染への不安や外出自粛によるストレスなどから心の健康を守るためにはどう対処すればいいのか。大村共立病院副院長で精神科医の宮田雄吾氏に聞いた。

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 -新型コロナの影響で、不安を抱えている人も多い。
 うつの症状は、ストレスになっている物事が一段落したぐらいでふっと現れる。今は社会全体が(新型コロナに対して)気を張っている状態。金銭的な問題や将来への不安感から感染の収束後に心身の不調を訴える人が増えると危惧している。「平気だ」という人も、まずは知らず知らずのうちに自分たちがプレッシャーの中でストレスを抱えて生活しているということを自覚した方がいい。

 -情報への接し方で気を付けることは。
 情報の殺到にみんなが不安になっている。大量の情報をうのみにするのではなく、今の自分に最低限必要な情報を取捨選択すること。マスコミは注意を喚起するという意味合いがあるから、最悪の事態を想定したことなどをたくさん流す。不安になりやすい人は県や国の公式発表を見るにとどめるなど情報を遮断することも必要だ。

 -日々の過ごし方は。
 生活リズムを保って睡眠を十分に取ること。ストレスを処理するには、屋内でできる筋トレなど積極的に体を動かした方がいい。掃除や勉強など何らかの日課をつくることも大切。例えば、永平寺の修行のように無心で目の前のことに打ち込む。自分が安心できる型をつくるのもいいかもしれない。

 -負の感情を増幅させないためには。
 子どもたちを安心させる一番のこつは、周りにいる大人たちが何らかの余裕を持っていること。普段は休み時間に走り回っている子どもたちは、休校や外出自粛でストレスがたまっているし、情報をまともに受けて不安になっているかもしれない。互いに八つ当たりするようになるし、会話の機会も激減する。不安な気持ちを言葉に出して発散するには、誰かと話すことも大切。感染すること以上に地域社会から責められることの方が怖い。もし地域で感染者が出ると村八分のような状態になる。感染者を責めない姿勢が大切だ。

 


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