アメリカの失業保険申請、3週間で1600万件を突破

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新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による経済的損害が増大する中、アメリカの失業保険給付の申請件数が、先月中旬からの3週間で合わせて1600万件を超えた。

アメリカでは現在、感染の拡大を防ぐため、ほとんどの企業が閉鎖を余儀なくされている。国民の約95%は何らかのかたちの封鎖状態に置かれている。

米労働省は9日、4月29日から今月4日までの1週間の失業保険の申請件数が660万件以上だったと発表した。

経済を立て直すため、米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、2兆3000億ドル(約250兆円)の緊急資金供給策を行うと明らかにした。

アメリカでは新型ウイルスの感染者数が43万人を超える中、経済危機が深刻になっている。

ユージーン・スカリア労働長官は、「今日発表した報告書でも、新型コロナウイルスの感染拡大のスピードを遅らせるため、アメリカの労働者とその家族が個人的犠牲を払っていることが表れている」と述べた。

失業率が3.5%前後を推移していた世界の経済大国にとって、この失業者数の急増は、経済状況を一変させた。エコノミストは、失業率が2桁台になっているとみている。

こうした危機的状況に、米政府は大がかりな支援策に乗り出している。

FRBは9日、利下げや、住宅ローンや小規模事業者などへの支援策を発表。FRBのジェローム・パウエル議長は、FRBの非常権限を「前例のない範囲」にまで適用していると述べた。

「経済回復への軌道に乗るまで、我々は引き続き、こうした権限を力強く、前向きに、積極的に使っていく」

また、米議会上院も先月25日、個人や企業に対する経済支援や失業保険の強化を可能にする、2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策法案を可決。ドナルド・トランプ大統領が同27日に署名し、法律が成立した。現在は、さらなる支援策を検討している。

「労働省と連絡がつかない」

こうした経済支援を受けようと、大勢が殺到している。

ニューヨークの音楽業界で働くルー・ベナヴィデス氏は、3週間もの間、失業保険給付の登録を試みているが、労働省と連絡がつかないという。

「300回くらい電話をかけた日もあった。(中略)いまだに人間と話せていない」

経済への「打撃を緩和」

新型コロナウイルスによる事業停止は、金融危機からの回復が始まった2010年以降に創出された約2100万人の雇用の大部分に影響を与えている。

今月4日までの1週間にアメリカで提出された失業保険の申請件数(約660万人)は、前の週(3月22日~28日)の約680万人からはわずかに減少している。しかし、エコノミストは、申請件数の上昇は今後も続く可能性が高いと警告している。

「米政府とFRBによる景気刺激策は、経済への打撃をある程度、緩和するだろう。しかし、事業の活動制限や閉鎖はいまも続いており、今後数週間でさらに多くの人が収入や職を失う可能性が高い」と、ムーディーズ・インベスターズ・サービスのロバード・ウィリアムズ氏は指摘する。

国連の国際労働機関(ILO)によると、世界の労働者の8割以上が、このパンデミックによる事業の部分的あるいは全面的閉鎖の影響を受けている。

ここ数週間で夫がケータリングの仕事を解雇されたという、ニューヨーク在住のカイラ・ボルヘス氏は、「悔しいし、怖い」と話す。夫は、失業申請しようと当局に連絡したが、つながらないという。「給与小切手1枚で生活するのは苦しい。私たちはこんなことは全く予定していなかった」

一方、FRBのパウエル議長は、新型ウイルスを封じ込め、保健当局が慎重な職場復帰計画を立てれば、景気回復につながるはずとした。

「景気の回復が力強いものになると信じる理由は十分にある」

(英語記事 US jobless claims surge for third week