性の多様性に理解深めて 長崎県がハンドブック作成

県が作成した「多様な性への理解と対応ハンドブック」

 長崎県は3月下旬、県内の性的少数者(LGBT)の声を取りまとめ、性の多様性に関する正しい知識や対応などについて分かりやすく解説したハンドブックを5千部作成した。小中高校などに配布する。県は「自分の身の周りにいるかもしれない性的少数者の方々にどう対応すれば良いのか参考にしてほしい」としている。
 「学校で早いうちにLGBTなどについて正しく触れる機会があれば、重く思い詰めたり、腕に傷がついたりしなかったのではないかという残念な気持ち」
 そう思いをつづっているのは、男性として生まれ、女性として暮らす20代のトランスジェンダー。学生時代は「周りにばれてはいけない」と普通の男子を演じ、苦痛からうつ病を発症したり自傷行為を繰り返したりしたという。
 10代のバイセクシュアル(両性愛者)は「ショッピングモールでパートナーと手をつないで歩いていたら、知らない人から指をさされて笑われた」とつらい過去を告白している。
 ハンドブックの作成は県内の性的少数者支援団体「Take it!虹」(儀間由里香代表)に委託。性的少数者たちの声のほか、「性自認(自分の性をどう考えるか)」、「性的指向(どういう対象を好きになるか)」などの用語解説や、性的少数者を取り巻く課題や実態を把握するために県が実施したアンケート結果も掲載されている。
 県人権・同和対策課は「性的少数者の悩みやつらい過去を知ることで、自分の周りにもカミングアウトできていない人がいるかもしれないという意識が高まるのではないか」としている。ハンドブックは県ホームページからダウンロードできる。

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